「しょーやん、アナタまた悩ましいお顔してるじゃない」

「・・・はよ。いきなりそれかよ」


楽屋に入るなり、ニノからの一撃。


彼の鋭さに戸惑いつつも、こいつに隠しても仕方ないといつの頃からか、情けない俺の独り言を聞いてもらうようになっていた。



「昨日は相葉さんとおたのしみだったんじゃないの?」


「・・・言い方。ニノこそ、相変わらずツヤツヤだな」

「まぁ。ワタシは可愛がられることを素直に楽しんでますから」

「ったく、はいはい、ごちそーさま」

「あれ、まだまだ何も言ってないのに、もうおなかいっぱい?」

「ニノと智くんが幸せなら俺はそれだけで胸がいっぱいだよ」



と、話を切り上げて、とりあえず顔でも洗おうと洗面台にむかう。




ニノに言われて気になった自分の顔。


「あぁ・・・ダメ、だな・・・」


独り言ちたその表情。

自嘲もできないほどに、ひどいもんだ。
スタッフには寝不足といって通るかもしれないが、さすがにメンバーには心配かけるだろう。


少しでもスッキリさせたくて、バシャバシャとやたらに水をかけて顔を洗う。服が濡れるのも構わずに。ひたすらに。
無心に水と戯れているうちに気持ちもいささか落ち着いてきた。



ふと気づけば、俺の背後に誰か立っている。

いま楽屋にいるのは、ニノ?



「ごめん、つかう?・・・ぅおッ!」



滴で視界の悪いままに手さぐりで椅子に掛けたタオル取ろうとしたその手をグッと力任せに引かれ、顔もシャツの胸元もびしょ濡れのまま、俺はその腕をつかむ手の主に抱き込まれる。



抗う隙もなく。


ドキンと跳ねる鼓動。


一瞬で体温が馴染んで。



思考よりも、カラダが、感じる。




・・・相葉くんだ、、、、