笑いながらしょーちゃんが教えてくれた。



「潤はさ、どうやら俺が潤の気持ちを知ってると思ってたらしいんだ」

「・・・逆に、社内でもあんなに『しぉおくんはおれの』的な発言をしてるアイツのアピールを、よくもそんだけスルーしてこられたよね」


「いや、慕ってくれてるのは理解してたけど、まさか、そんなに想われてるとはおもってなかったっつーか・・・」


「そういうとこ!そういうとこは本当に罪だよね!」


「いや、マジで悪かったなぁと思ったんだよ。だから、断るにも、せめてちゃんと向き合わなきゃと思ってさ」




予想してない告白に戸惑い、上手く受け流すことも出来ず、断るにも誠実なしょーちゃんは、そこで初めて『雅紀が好きなんだ』と人に話したという。


そうこうしている間に、転勤が決まり、潤やら、『おおみや』のニノちゃんと大将の大野さんを巻き込んで、さんざん愚痴ったりノロけたりをしていたらしい。



「・・・わかった。そういうことなら、出世すごろくにのったしょーちゃんには、本日より『相葉すごろく』も始めていただきます」


「え?雅紀くん、またそんな、ナニを言い出すのかね?」

「サイコロ振って勝手に止まった場所の指示に振り回されるなら、どうせならどこに止まってもしょーちゃんが幸せになるオレ特製の『相葉すごろく』に乗せたい!しょーちゃんを幸せにしかしたくない!」

「あいばすごろく・・・(笑)」

「オレはしょーちゃんの気持ちが知れて、オレの気持ちが伝わった以上、コマを先に進めたい。・・・コレ、一応、『先に進まなきゃ行けない?』についてのオレなりの答えね」

「・・・お、おう」

「んで、だ。しょーちゃん。進めなきゃいけないのが怖い、なら、進まなくてもいいよ。オレも何度も一緒に『1回休み』をするから。でも、しょーちゃんが進んでみたいと思えた時に、オレはいつでもサイコロを振る準備はしておくね。あ、あと、ワープも用意しとく!」



そう言って手を握れば、柔らかく握り返してくれた。



「・・・あはは、ワープ、いつか使えるかな(笑)」


「よーし、じゃあ早速『相葉すごろく』つくろう!明日は日曜日だし、夜は長いぜっ!まだまだいけんだろっ!」



と、しょーちゃんの気持ちが近づいた嬉しさと酔っぱらいのノリで勝手に盛り上がっちゃったら、しょーちゃんは思いのほか神妙な顔をして



「なぁ、『相葉すごろく』のゴールって・・・」

「ん?ゴール?」

「そう、ゴールしたら・・・」

「ゴールしたら?」

「・・・俺は、雅紀がもらえんの?」



またこのひとは!
なんてこと言うんだよ!

あー!罪!マジで罪!



もうだめだ
気持ちが溢れてとまらない

今度はちゃんとは真正面から抱きしめて思わず言った


「しょーちゃん!ごめん!やっぱダメだ!ゴールまで待てない!しょーちゃんのこと好きすぎてダメだ!相葉すごろくの一コマ目を『しょーちゃんをもらう』にさせて!」

「いいけど、サイコロは6分の1・・・絶対に『1』出せよ?」

「え?」

「1じゃなかったら通り過ぎて一生お預け、ってことだな」


ニヤリと笑うしょーちゃんが最高にカッコよくて。
なのに言ってることはハチャメチャに可愛くて。


自分の失言を挽回するために、しょーちゃんが転勤してしまう前に、オレはもう全力で【1】しか出ないサイコロを探す、と、心に決めた。



おわり