察したしょーちゃんが急に慌てだして、自分が蒔いた地雷を探している。



「え、まって雅紀・・・相葉くん、え、いやまって、相葉さん?俺なんかおかしなこと言った?ちょ・・・なに怒ってんの?」

「怒りもするでしょ・・・。」



眉を下げて、俺を見つめる宝石の瞳。
でも今はその輝きには惑わされない。
どうしても言わなきゃいけないことがある。



「オレは何にも知らなかった。しょーちゃんがオレを好きだと思ってくれてたって知らなかった・・・そんな、しょーちゃんの、とっておきの気持ちのこと、何一つオレは教えてもらえなくて、それを一番知りたいオレだけが知らなくて、なんでその他大勢がしょーちゃんの気持ちを知ってんの?」

「・・・その他大勢って・・・」

「オレとしょーちゃんの話であって、オレたち以外は『その他大勢』だろ?」

「・・・雅紀、ごめん、そうだな、『その他大勢』に言うくらいなら、まず、雅紀に言えばよかったなぁ」




オレは、怒ってて、でもどうしようもなく、この人が欲しくて。
なにか言おうとしても上手く言えてないのがもどかしい。
なんだか涙が出る。ぬぐってもぬぐっても、勝手に。




「うぅーっ!もー!なんなんだよ!」

「雅紀、泣くなって。ごめん。俺、雅紀もきっと俺のこと好いてくれてるってわかってたけど、でも、怖くて、踏み込めなかったんだ」

「進めなきゃいけないことが、怖かったのかよ」

「うん・・・そういうことなんだと認める。なんかさ、会社の出世すごろくみたいのを見てるとさ、立ち止まってることって、なんか罪悪感にも似た感情というか」

「しょーちゃんは特に、そうなのかもね、仕事できちゃうし」

「まぁ、それなりにはやってきてると思うよ。だから、求められて、できることがあって、なのに、個人の感情でうだうだしてちゃいけないなって」

「・・・恋愛と仕事は別だろ」

「それ、『その他大勢』にも言われた(笑)」

「もー!まず、その他大勢って、どこのダレ!?」

「あはは!気になる?」

「なるよ!オレより先にしょーちゃんの気持ちを知ってたなんて、わりと許せねぇと思ってるけど?」

「物騒だなぁオイ」

「ねぇ、誰」

「・・・飲み屋の『おおみや』の大野さんとニノ。あと、潤」

「クッソ!マジかよ!潤!?アイツも知ってんのか!」

「なに、そこも地雷なのかよ(笑)」

「そうだよ!潤がしょーちゃんのこと大好きなのは知らないやつがいないほど知られてっし!」

「マジか。だからか。」

「なにが?」

「潤に好きだって言われたんだけど」

「はぁぁあ!?」

「落ち着けって」

「落ち着けねーよ!いつ!?」

「えー、半年くらい前?」

「めっちゃ前じゃん!」

「うん、それなりに前だね」

「なんでオレに言わねーの?」

「言うかよ!(笑)」

「言えよ!」

「なんでだよ!」

「しょーちゃんのことなら何でも知りてーからに決まってんだろ!オレはしょーちゃんの下着の柄と色まで全部知ってんぞ!?オレが毎年プレゼントしてんだからな!!その為だよ!あークソッ!もーっ!そういうなんでもかんでも全部知りてーからだよ!!逆にしょーちゃんはオレのこと、なんでも知りたくねーのかよ!」



そう言ったオレをしょーちゃんはめちゃくちゃ笑って『なんで怒ってんだよ』とか『下着いつもありがとな』とか、『雅紀最高だなぁ、やっぱ好きだわ』って、色んなことを言いながら、まゆを八の字にして、涙を流して笑ってた。