「櫻井さん・・・今日も、泊まってくれますか?」



それは、そういうことなのだと、隠しもしない真っ直ぐの言葉。



「好きなヤツ同士が一緒にメシ食って酒飲んで、こうやって抱き合って、その誘いって、そういう意味?」




わかっているからこその、確認。
俺の中でのケジメ。
つまんないことだけど、それは俺的には絶対で。
相手がこの相葉くんだから、尚更。


これまで「なんとなく俺たちそうだよね」という空気感を察しあったり、そこは「大人だからいちいち口に出さない」みたいなへんなカッコつけで多くの女と始めては終わってきた。


でも、それをしたくない相手がいるんだと知った今は。





「・・・ほかの意味なんかないでしょ?」


「はは、ないんだ?」



そうして、ゆっくり唇を触れ合わせる。



「ヤバ・・・めちゃくちゃ幸せなんですけど」



と言って、またぎゅっと抱きしめて頭を擦り寄せてくる。あんなに攻めてきたとは思えないくらい優しくて甘い相葉くんがいっそう可愛い。



「あのさ、なし崩しに始めたくなかったんだよね。気持ち確認しとかないと雰囲気で始まっちゃったら、お互いにあとで悩みそうな気がしたからさ。俺の性格的には、絶対悩むし」



「・・・オレはさっき勢いで押し倒せばよかったって後悔してます」



そう言いながら、頬や額、まぶた、こめかみに途切れることなくキスをくれる。柔らかく触れてくれる唇が気持ちいい。



「またずいぶん、怖いこと言うじゃん」


「緊張して、どうしたらいいか、どうするのが正解か、わかんなくなってます」



「なにそれかわいい」


「・・・からかわないでください」



鼻先に近づいた唇を不意打ちでぺろりと舐めてやると、驚いたように顔を引いた。

甘くキスをくれていた男の目がこんなに熱かったのかと満足する。
そうしてまた見つめ合うと、やっぱり疼く熱を再確認せざるを得ない。




「正解なんて、俺らが気持ちよくなれればそれでいいんじゃね?」


「可愛いのにすごくエロくて男前でヤバいです」


「大人になるとさ、お互いが初めから好きで始められることって奇跡だなって思うわけ、俺は」



そう伝えて



「だから、奇跡を大事にさせてよ」


と、今度は俺から、この先をねだるようなキスを仕掛けた。