幾度も幾度も。

どれだけ揺さぶられてもまだ足りない。

快感を逃さないよう左脳を閉じて
雅紀の体温と呼吸だけを感じているこの瞬間。
細胞のひとつひとつがひたすら快感を追いかける。



「アッ・・・雅紀、そこ、・・・んんっ!」

「しょーちゃん、きもちいね」

「ま、さきっ・・・も、イキそ・・・、んァッ・・・」


俺の身体を知り尽くしている雅紀に容赦なく攻め立てられると、抗えない欲望に飲み込まれていく。そうなるともう堕ちるだけ。とうに理性は手放して、溺れることに諦めて、もっと欲しいと伝えるかわりに、はしたない声をあげている。


いつだか雅紀が言ってた言葉がふと過ぎる。



『ゆっくりでもいい、歩いてでもいいから、前へ進み続けたい』



俺は、俺たちは、この関係は。

雅紀の歩みを
引き止めてやしないか
邪魔してやいないか

そんな不安が募る時

コイツは決まって

俺をめちゃくちゃに抱く。



そして必ず

「離してやれないから、諦めてね」

と、柔らかな声で、俺を縛る。



そう言われると、酷く安心する俺は、
雅紀の強引さを大義名分にして、
きっとずっと甘えつづけるんだろう。