迎えに来てくれたしょーちゃんはオレの顔を見るなり
「ドライブでもいくか」
と、優しく笑った。
首都高を流れるオレンジの光が
ほの明るく車内を照らす。
しょーちゃんのキレイな横顔を見てると
ふいに気持ちが昂って泣きそうになった。
ごまかすように座り直して
まるで窓の外に面白いものでもあるかのように
一生懸命、景色を眺めるフリをする。
「……なんか、あったか?」
その問いは、どっち?
窓の外に?
それとも、潤くんと?
どっちでもいいや。
オレが話したいことを話せば
しょーちゃんは全部聞いてくれるんだ。
それは間違いないから。
「あのね」
「ん」
「……オレさ、しょーちゃんとずっと一緒にいたい。」
「うん」
「しょーちゃんは、どこも、いかない?」
「……かならず、雅紀のそばに帰ってくるよ」
「うん」
「雅紀のいるところが、俺のホームだから」
「……うん」
その答えはオレを、ひどく安心させる。
そして不安定になってることを自覚させた。
しょーちゃんがゆっくりと話し出す。
「やたらと約束したり
誓いを立てたり
何かに認めてもらったり
そういうのって
そうした『始まり』のときは
強く結ばれてる気がして安心なんだけど
だから、安心して目を離してると
いつの間にか壊れてることに気づけない
……ってことも、あるんだよ」
「ん…わかる。
だから、オレたちはあえて繋がりを
カタチにしてこなかったわけだし。
……それは理解してる。」
そうして
ひとつ、ふたつ、ゆっくりと小さく息を吐く。
「オレたちは、お互いに唯一の関係じゃなくて
束縛はしないけど、関係性を大切にしててさ
その結果として『ふたり』で
気持ちよく過ごしてきたよね。
それが、周りから見たら友達なのか恋人なのか
もしくはセフレなのかはわかんないけど
他人がどうしてもオレらの関係性に名前をつけたいなら
それは好きにすればいいって。」
「うん」
「だから、それは
オレらがわかってればよくて
お互いが大切だから
そういうふうに、してきてさ」
「……ん、そうだな」
「しょーちゃん。オレを大切にしてくれて、ありがと」
「こちらこそ、俺を大切にしてくれて、ありがとな」
「オレ…ずっと……ずっと一緒にいたいんだよ、本当に。」
いつの間にかどこかのサービスエリアに車を停めたしょーちゃんは、そういったオレの右手を握って、手の甲にキスをくれた。
そしてオレをゆっくりと引き寄せて
背中を撫ぜてくれながら
「俺たちの関係、変えてみようか」
って言ってくれた。
しょーちゃんはもう、わかってる。
……きっと、待ってたんだよね、この日を。
いつだってオレの気持ちを大切にしてくれて
待っててくれるしょーちゃんに
オレはもう本当のことを言うしかなかった。
「オレ、しょーちゃんと
……潤くんとも
一緒にいたい。
3人でずっと……一緒にいたいんだ。」
しょーちゃんが優しく
「それ…すげぇしあわせになれるやつじゃん」
って、言って
ぎゅっと抱きしめてくれた。