カミュ作  転落・追放と王国。1956年に書かれた短編集になります。今から70年も前に書かれた作品が現代でも読める…なおかつ自分ごときでも感じれる要素がある…贅沢ですね。

過去に何度か読んでおり、もう一度「転落」を読みたくなったんです。ちなみに収められている作品は…
・転落
・追放と王国
・不貞
・背教者
・唖者
・客
・ヨナ
となってます。好きなのは…転落・背教者・客ですね。転落というのは元弁護士のクラレンス、裁き手であり改悛者と名乗っているオランダに住んでいる人間の独白のようなものです。一応会話文という形をとってますが、中身は独白ですね。言葉の会話のやり取りがないので。


この作品は…普段から本を読んでる方やちょっと難しい作品が好きな人に限ります。自分はこの転落のクラレンスの豊かな語彙の羅列が好きで、たまに読み返したくなります。心象を丁寧に描写、汲み取ろうとすると、難解にならざるえないのですが、それを求める人には良いレリックになってます。サルトルとか、そういうのに慣れてる方向けの本ですね。


以前から古い本は紹介してるんですが、文庫になってる作品に関しては少し注意が必要なので、それを書いておこうかと。


ずばり言うと、若い方がこうした本を選ばれる際には、新しい訳の本をお奨めします。古い本だから旧訳でないと…とか、古い本を古い訳で読む❗❗賢そうに見える❗とか思うかもですが…失敗することが多いのです。

つまり内容が頭に入ってこない。本来であれば共感できる内容も70年も前の言い回しや訳になると、自分のような人間には理解が難しいです。これは実体験でもあります💦


新訳で現代に適した語で読みやすいのに慣れてから、旧訳にチャレンジしていって、旧訳との違いを感じるなんていう…自分はやらない熟練者の道を進んでいってもらえたらと思います。


新訳=絶対に読みやすいというわけではなく、読みやすさも意識しながら、古典の良さを引き出そうとする試みです。

冒頭の写真にもありますが、岩波文庫さんとか光文社古典新訳文庫とか色々ありますので、事前に調べて、実際にページを捲ってみて下さい。同じ作品でも違いがあるので。

古典と言うと、取っつきにくい、難しい、退屈とかそんなイメージあるかもですが、悪くないですよ。消費的な作品とは違うものがあります。むしろ現時点では分からなくても、数年後に分かったりします。そういう教養的な経験のための古典だったりします。


冒頭の写真の「猫とともに去りぬ」なんて…古典という枠組みですけど、イタリアのファンタジーですからね。日本のバイクのナナハンと結婚しようとする男の話とかね(笑)
人間をやめて猫になった老人の話とかね、色々です☺

まぁ今日はこれで以上です。最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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