まぁ…

そんなに頻繁に会う人じゃないから…

暫くは会わずに済むだろうって思いながら来たバスに乗り込んだ



「あ……松本君!おはよう~♪」

「二宮もおはよう♪」


凄いイヤな予感…


「えっ?…相葉先輩に大野先輩?」



これまで一度も一緒になった事…なかったのに…


何でこのタイミングで…


「おはようございます…え?でも…何で?」

潤君の質問に相葉先輩が口を開く

「え?…あ~だって…翔ちゃ……んぐぐっ…」

その口は直ぐに櫻井先輩に塞がれて

「今までは違う時間のバスに乗ってたから…」

変わりに答えた櫻井先輩


「…二宮君…おはよう…」

「…おはよう…ございます……」



なんだか顔が見れなくて俯く


「翔君…そろそろ相葉ちゃんから手離さないと…シ んじゃうよ(苦笑)」

俺の目線に櫻井先輩の腕を必死で叩いてる相葉先輩の手が見える


「あ…悪い悪い…」

「っぷはぁ~~……マジで召されるかと思った……」

「後ろ…席空いてるから来なよ」

「おっ!ラッキー♪和来なよ」


「…俺は…立ってるから…潤君、先輩達と座って」

「そう?わかった」

「おいでおいで~♪」

相葉先輩に手招きされ1番後ろの席に座った3人…



櫻井先輩は…

俺の隣に立ち吊り革に掴まってる…


「あの…先輩も座って下さい」

俯いたまま言えば

「ん?…俺も立ってる……」

「…俺の事なら気にしないで大丈夫なんで…」


「……プレゼントの意味…わかった?」

「……っ…////」

「…そういう事だから……好きな子の事は気になる……////」

「…そう…です…か…////」


なんだか気恥ずかしい…




不意に先輩が俺にだけ聞こえる声量で口を開く


「…俺…本気だから…本気で君の事…好きだから……返事とか……急いでないからさ……俺の事…考えてくれたら…嬉しいんだけど…」



声色から…

たぶん真剣な表情で話してるんだろうなって感じる…



そうだよね…


先輩は先輩なりに悩んだはず…


それでも俺に想いを伝えてくれた…


そんな先輩の気持ちを考えたら…


時間はかかるかも知れないけど…

先輩の事…しっかり考えてみようって思った



「…わかりました……しっかり考えたいので少し…時間下さい…」

「うん。ありがとう…ゆっくり考えて」




バスに乗ってからずっと下を見ている…

だからか……ちょっと気分が悪い…


ぁ………そういえば…

俺…今日酔い止めの薬…飲んでくるの…忘れた

その事に気付いてしまったら…

どんどん気分が悪くなってくる…

口元に手を添えた俺に、櫻井先輩の心配そうな声が聞こえる

「…二宮君…?大丈夫?具合悪い?」

「…大丈夫…です…」

「…大丈夫じゃないでしょ?…顔色…めちゃくちゃ悪いし……」

心配そうに俺の顔を覗き込む先輩と目が合った…

「……」

「…もうすぐバス停だから…我慢できる?」

「…は…い…」



俺の異変に気付いたのか

いつの間にか傍に来ていた潤君


「和…酔った?」

「ん…」

「喋んな…辛いだろう?カバン貸しな…俺が持ってくから」

「ありがとう……」

潤君にカバンを渡す


「翔君…カバン…」

「え?」

「二宮の事、保健室に連れってってやって俺等は先に教室行ってるからさ」

「そうだね…この感じじゃ…暫く復活しなそう(苦笑)」


相葉先輩の口調から

俺の顔色は相当悪いらしい…



あ~あ…皆に迷惑かけちゃったな…


「和…迷惑かけたとか思うなよ(笑)」

「でも…薬飲むの…」

「うっかりは誰にでもあるから…それに…寝不足も重なってるだろうし…」

目の下の隈を指差した潤君


潤君には敵わないや……


バスが止まり扉が開く

ゾロゾロとバスを降りる人達に続きステップを降りようしたら

体がふらついた…

グイッと肩を抱き止めてくれた櫻井先輩

「大丈夫?」

「…すいません…大丈夫です…////」

「ゆっくりね」


ステップを降りきるとフワッと体が宙に浮いた…

「わっ……?!」


何事かと見上げれば…


櫻井先輩の顔が近い…



俺は櫻井先輩に…


お姫様抱っこされていた