三大療法② 行動療法 | ファイブアカデミーの心理学入門

三大療法② 行動療法

皆さん、こんにちは。
暑いと思ったら、急に涼しくなったり、東京は定まらない天候が続いています。
私も少し体調を崩し、寝込んでしまいました。皆さんも気をつけてくださいね。

今回のテーマは三大療法の②として「行動療法」をとりあげます。
行動療法にはこれといった創始者はいないのですが、
そのもととなる行動理論を説明するのに欠かせないのがワトソンという人物です。

行動理論とは学習理論ともいわれ、人の行動や考え方は「学習」によって、
身についたものであるという考え方です。学習という言葉は日常的にも使われますが、
心理学用語としての「学習」も、ほぼ同じ意味としてとらえることができるでしょう。
英語や数学の学習と同じように、人は考え方や行動を学習すると考えられています。

人間は白紙の状態(タブラ・ラサ)で生まれてくるものであり、
いまある自分は学習の結果であるというのが、行動理論の基本的な考え方です。
前述したワトソンは行動主義の権威なのですが、自分に1ダースの赤ん坊を預けたら、
何者にでも育ててみせると発言したことは有名な話です。医者にも、芸術家にも、
乞食にも、泥棒にも育てられると言ったといわれており、ワトソン自身は
この過激ともいえる行動主義のせいで、後に批判を受けることになってしまいました。

行動療法ってなんだかおそろしい…と思われるかもしれませんが、
行動理論が生まれた背景には、伝統的な精神分析などに対して、
より客観的・科学的に人の行動をとらえようとしたということがありました。

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行動療法は行動そのものに働きかけるという特徴がありますが、
日常生活の中にも行動療法が応用されているものが、実は意外とあるんですよ。
たとえば、夏休みのラジオ体操に参加して、シールを貼った思い出はありませんか。
すべての日に全部シールが貼れた人は、ごほうびに記念品をもらっていたでしょう。
これは「トークン・エコノミー法」という行動療法のひとつなんです。
お店でスタンプをためて、いっぱいになると景品がもらえるというのもありますよね。

現在は、行動療法を単独で行うということはあまりないかもしれませんが、
行動とともに認知に働きかける「認知行動療法」が、
非常に人気のある心理療法となっています。心理学でいう「認知」とは簡単にいうと
考え方やとらえ方のことですが、問題行動や考え方のクセなどに直接働きかけ、
実際に効果があるということで、うつの治療などにも広く取り入れられています。