三大療法① 精神分析療法 | ファイブアカデミーの心理学入門

三大療法① 精神分析療法

皆さん、こんにちは。
震災から4ヶ月が経過し、気がつけば本格的な夏が訪れていました。
被災された皆様には、改めて安全と復興を心よりお祈り申し上げます。

今回のテーマは「精神分析療法」です。
皆さんも精神分析とフロイトの名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。

カウンセリングにはたくさんの療法がありますが、なかでも
「精神分析療法」「行動療法」「来談者中心療法」は三大療法と呼ばれています。
その他の療法は多くの場合、これら3つの療法やその元となる理論を
発展させて作られたものであるということができるでしょう。

三大療法のうちでも「精神分析療法」はカウンセリングとも
とても深い関係のある臨床心理学の基盤となった歴史を持つものです。
創始者はS.フロイト。元となる理論は「精神分析理論」です。

それではまず、フロイトがどういう理論を説いたのかを見てみましょう。

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【心の局所論】
フロイトは心を意識・前意識(ぜんいしき)・無意識の3つの領域に分けて
考えました。精神分析では無意識を非常に重要なものとして扱います。
私たちは日常的に「無意識」という言葉を使っていますが、
精神分析での無意識とは「意識にのぼらない心の領域」ということができます。
少しややこしいですね。「前意識」というのは聞きなれない言葉ですが、
普段は意識してないけれど、意識しようと思えばできる領域のことを指します。

【心の構造論】
局所論のほかにフロイトは、自我(エゴ)・エス(イド)・超自我(スーパーエゴ)
という構造を考えました。
エスは無意識の領域に相当し、本能的な欲求や衝動に支配されている部分です。
超自我は意識と無意識の領域にまたがり、道徳観や倫理観、良心などに
支配されています。そして自我はその2つのバランスを取る役割を果たします。
つまり、エスは自分の中のわがままな駄々っ子、超自我はいいこちゃん、
自我はまっとうな人間というイメージかもしれません。

フロイトは人間の心の無意識に注目し、過去に抑圧した出来事を
意識化することによって、神経症などの症状が回復すると考えました。
そのために取り入れたのが「自由連想法」という方法です。
クライエントはカウチ(寝椅子)に横たわり、思い浮かんできたことを
自由に話します。セラピストはクライエントの頭の後ろに位置し、
クライエントの視界には入りません。

そうした中でクライエントの中に、治療に対する「抵抗」が起きたり、
クライエントにとっての重要な他者に対する感情を、代理的にセラピストに向ける
「転移」と呼ばれる現象が起こります。ときにはセラピストのほうも
心が揺り動かされ、「逆転移」が起こるのです。
それらを解釈し、何度もセラピーを繰り返すことによって、
問題をひとつひとつ徹底的に排除していく「徹底操作」が行われます。

このように精神分析療法はクライエントの負担も大きく、
治療には長い時間がかかるため、現在では精神分析のエッセンスを取り入れた
簡易的な療法も考案され、別の療法との組み合わせてカウンセリングを行う
折衷的な方法が主流となっています。