5月27日、小平市内の野外でゴキブリコンビナート公演を観劇した。
第33回公演「情欲戦士 ロボ単于」。
ゴキコンを見たのは約20年ぶりだ。
確か最初に見たのは「粘膜ひくひくゲルディスコ」(1999年)だった。
その無茶苦茶なエログロ、ナンセンスぶりに惹かれて2,3回続けてみたと思う。
周りに「これからゴキコンがブレイクする」と触れ回っていたが、その予言は見事に外れた。
まさか今も続けているとは思わなかった。
小平市内の広大な公園の一角に青色のビニールシートで覆われた立方体のプレハブを26日に発見。
なんだこれ?と思って受付に聞くと「ゴキブリコンビナート公演」だという。
「ゴキコン、まだやってるのか!」
懐かしくて見たいと思ったが、チケットは完売、翌日もやっているが「だめだ」と言う。
その「拒否ぶり」に不審を抱いてネットで公式サイトにアクセスすると、
まず会場の場所が明らかにされていない。昨年と同じ場所でやったらしい。
「当日は汚れてもいい服でお越しください」とある。
試しに予約申込のメールを送ると、ほどなく受付完了の返信が来た。前売り2700円。
27日18時前に会場に行くと、整理券を渡されて列に並んだ。
20代から40代の男女。ほとんどが透明の使い捨てカッパを羽織っている。
劇団関係者が寄ってきて「その格好で大丈夫ですか」「いや、用意してきていないので」
「カッパは受付で200円で売っています」「着たほうがいいですか」「それはわかりません」
とりあえずウインドブレーカー姿できたので、そのまま会場へ。
プレハブは縦横8メートル、高さ6メートルぐらいで、
内部は黒色のゴムシートを覆って鉄パイプが縦横に張りめぐらされている。
観客は立ち見でどこにでも自由に移動できる。
筋立ては書いてもあまり意味がない。
一応、受験勉強を強いられて人格が壊れた男女が、
レイプやネクロフィリアやカニバリズムに走るという内容だが、
つまりはあらゆるタブーを犯して下品で醜く汚い世界を現出させるわけだ。
全編、歌芝居仕立てだが、メロディーも歌詞も全く洗練されていない。
セリフや演技を云々するレベルでもない。一言で言えば、まぁ「むちゃくちゃ」だ。
松明を掲げて歩きまわったり回ったり、天井から水をぶちまけたり、
花火やヨーグルト(だと思う)の精液を噴出したり。
ウインチで役者に引き上げたり、男女がしがみついたシーソー形の鉄パイプを回転させたり、
ふんどし姿の全裸女性が走り回ったり、といわばスペクタクルの連続なので飽きはしない。
中身はお下劣でバカバカしくてくだらなくて「サイテー」の極致だが、
もちろんそれがこの劇団の持ち味であり、観客もそれを見るために来ているのだ。
中にはカッパをあえて着ず、進んで水を浴びている女性の観客もいた。
感心したのは劇場空間の使い方だ。
立方体内部に縦横に張り巡らせた鉄パイプで、いわば空中に「花道」を交差させ、
四方の出入り口から役者が出入りする。
役者たちはその花道から壁面の鉄パイプを伝って縦横斜め、空間内を自在に動き回る。
一つ間違えば落下して怪我をする。実際、役者たちはあざだらけだった。
このプレハブは箱型の劇場空間の周りにもう一つ大きな箱を被せる形で作って、
役者はそこを「舞台袖兼楽屋」として利用しているつくりである。
こういう芝居を20年以上続けている、続けられていることには呆れるとともに敬意を評したい。
しかも中身はまったく進化も洗練もされていない。むしろ質的には後退していると思う。
その後退が劇団にとっていいことなのか悪いことなのか、判断がつかない。
もう一つ、非常に清潔に整備され、家族連れがペットたちと遊び楽しんでいる、
いわば現代の幸せを凝縮したような風景がみられるこの公園の一角で、
その真逆の反社会的でアンチモラルな表現をぶちまけた空間を実現していることにも感嘆した。
私はもはやその表現を楽しめる年齢でもなくなったし、二度とコキコン公演は見ないと思う。
でもこうした表現が存在し続けることを演劇の存在理由の一つとして肯定するし、
その表現を保障する場を提供している公園側の姿勢を評価したいと思う。
「こういうご時世ですので、こうした場で公演の許可を得るのはなかなか大変なんです。
なので公演中は関係の写真をSNSでアップしないでください」
公演前に劇団関係者が観客に要請していた。
だから今回、公園の名前を伏せて報告することにした(分かる人にはわかると思うが)。