目覚まし時計の音にたたき起こされて目が覚めた。

布団の中でゆっくりしたいが、そんな余裕はまったくない。

昨日の残ったおかずとごはんをお弁当に詰め、朝食の用意をしていると、雅也と陽介が起きてきた。


雅也にお弁当を持たせて玄関で見送った。

「いってらっしゃい。」

「行ってきます。」

彼の顔も少し疲れている感じがする、きっと月曜日なので気が重いのだろう。


陽介を保育園の制服に着替えさせて、二人乗りの自転車で園に送り届ける。

そして、そのまま自転車で会社へ向かう。

天気は快晴だが、ココロには灰色の雲が覆い被さって晴れないままだ。


勤めているのは、大門食品株式会社という、食品の卸会社で、入社してからずっと営業事務の仕事をしている。

この会社では、営業一人につき、営業事務が一人ついて二人三脚で営業の仕事をしている。

私のパートナーは、高木伸吾という35歳の営業マン。

仕事はきっちりこなすタイプで、成績もいいし、周りの評価も高い。

でも、なぜかパートナーの私とは、少しぎくしゃくして折り合いがうまくいっていない感じがする。


むしろ別のコンビを組んでいる、隣の営業事務の白戸千絵とは、とても仲が良さそうだ。

今も二人で週末のことを話している。

高木は彼女と旅行に行ったらしい、白戸は友達と映画に行ったと言っている。

聞くつもりはないが、二人の会話が耳に入ってくるのだ。