はぐれ旅人 明晃ブログ

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古の街道にロマンを求めて彷徨い歩く

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大曲☞横手☞秋田久保田宿☞大館方面

9月22日(金)

今日の旅も 旅程の都合上 大館~青森方面を飛ばし 横手からの出立つとなる 

また何時ものルートと違い 太平洋側から直接 奥羽本線横手駅に向かう

仕事を早めに終わらせ  東京発13:20の東北新幹線で北上駅へ

JR北上線に乗換て横手駅に向かう 忙しない旅程だ!

横手駅に着いたのは午後5時59分  改札口を出ると街は夜の帳に包まれ 

駅名のネオンだけが 眩しくひかる

近くに有ったコンビニでおにぎり2ケとスポーツドリンクを調達し さあ~行くぞと気合を入れた処

そそくさと握り飯一ケは食べてしまう

宿も決まっているし 午後9時ごろには着けるだろう!と暗闇の中でも心は軽いが

見知らぬ地に 歩を進める道を探すのは 一苦労する

お店を閉めようとしていた女性に 不審者扱いされるのを警戒しながら道筋を訊いてみた

「歩いて 一人旅をしている者ですが !」 と 恐る恐る小生の素性を 先に明かすと

警戒される事なく 二通りの道筋を親身になって 教えてくれ

「用事が無ければ その宿まで乗せて行くのだが」 とまで言ってくれる

「歩き旅」なので と断ったものの  脳裏にはこんな美しい女性に送って貰ったら

どんなに楽しい旅が出来るだろう との思いが彷彿する

こころ温かくして 街道を行けば 夜道の中でも苦にならない

 

しかし

 

行く道は 街路灯も次第に少なくなり それと共に温まった心も次第に冷めて行く

道は何時しか国道に合流し 摺れ違う車のライトに足元を照らされれば 歩道の縁石から 車道に

足を踏み外す危険は無くなるが 直ぐに漆黒の闇へと戻る

どの位 暗いものかと 懐中電灯を消したところ 目に近づけた手のひらも見えない

「一寸先は闇だ」とのことわざを 身をもって感じる

やがて 道は旧街道となり 灯りの燈る民家の前に立っていた小母さんに 今夜の宿「旅籠屋」の事を

訊いてみると

手で口を押さえながら 「ごめんね!今ギョウザを食べた物で」 と言いながら 

あと 物の10分も掛らないですよ と教えてくれる

これまた綺麗な小母さんであったが 容姿以上に心の美しさを感じた

然しながら 歩を進めども 宿らし建物には出合えず 1時間位が経過する

足の裏には 水ぶくれに成る寸前の 痛みが出て来る

遠くに見えるネオンに安堵したものの 近づくとラーメン屋のネオンであった

どうも 先程の小母さんは 小生が歩いているとも思はず 車での所要時間を教えて

くれた様だ!

ごもっともだ こんな暗い夜道を歩いてる馬鹿者は居ないもんな!

そんな事を感じて居た時 ラーメン屋の駐車場に一台の車が入って行った

すかさず 運転手に旅籠屋の宿を訊いてみた

運転手は 地元の人間では無いので分からないと言いながら スマホを取りだし

調べてくれた

その宿でしたら 50メートル先に在ると 言う事ですよ!

との事で 苦笑いが収まるまえに 旅籠屋に着く

 

リュツクを部屋に投げ出し 先程のラーメン屋に行くと 宿を調べてくれた人が 店から出て来て

宿は在りましたかと 心配そうに語りかけてくれた

店に入り 座る席を探していると 本日は終わりましたの声に 時計を見ると

午後9時を少し回ったところだ! 全身から力が抜けるのを感じながら宿に戻る 

受付で聞くも 素泊まりの宿の為 アルコール類 飲料水の自動販売機しか置いてないとの事で

近くには いま行って来たラーメン屋の他は 飲食店は元より コンビニも無いとの事だ!

其れでも リュツクの中には横手駅前で買ったおにぎりが1ケ残っている

ビール1缶 握り飯1ケ 風呂付 蒲団付き とは 前回の旅と比べれば 雲泥の差だ

因みに 今日の朝飯・・なし 昼飯・・焼きそば 夕飯・・握り飯・・1ケ 夜食・・握り飯1ケ

健康上 この上ない食生活だ! 其れでもエネルギーが足りなければ 身体に着いた

脂肪を燃やせばいいや・・・!

午後10時半 深いふて寝の眠りに就く

 

    夢は 稲穂の まるかじり    明晃

 

9月23日(祝 お彼岸)

午前2時過ぎに目が覚めたが 今から支度をして宿を出れば 馬鹿な夜行性動物に成ってしまう

再度 蒲団の中にもぐり込んだのは良いが 目が覚めると 午前4時を過ぎてしまった

午前5時前に「旅籠屋」を発ったが 季節は移ろい 夜明けが随分と遅くなってきた

それにしても遅すぎると思いきや 顔に冷たいものかポッポッと当たる

なに~雨~!

出鼻をくじく雨に ポンチョを出そうと思うが 面倒くさい

降る雨に濡れれば良いやと  投げやりに歩を進めれば 光の無い世界に 

進む道が分からない

国道に道を求めれば コンビニの灯りが見える

そう言えば 昨夜はおにぎり1ヶのみと思えば 急に腹が減っているのに気付く

初老のボケの始まりか?

やはり此処でも おにぎり2ヶと飲料水を調達するのみだ!

 

夜も次第に明け雨は上がったが 空は厚い雲に覆われている

そんな中の旧道に歩を進めれば 横手市から大仙市へと入る

 

 

奥羽本線の跨線橋の上からは 横手の山裾に向かう鉄路が 霞みの中に伸びている

そのアングルを邪魔する 一匹の大きなクモが フラッシュを浴びながら 写真の中で

誇示をする

 

 

下の写真の中央に映るビル辺りが 大曲の市街地だろう

其れが分かれば あえて車が走る道に 歩を進める必要は無い

 

幹線道路を離れ 集落の生活道路を行けば こうべを垂れる稲穂が 

早く刈ってと言わんばかりに たわわに実っている

 

人家の脇に目を遣れば 小母さんが三基並ぶ墓石の前で  何かの供物を置き ロウソクを

手に持っていた  ロウソク?の不思議に声を掛けた処 この三基の墓は 本家 分家の墓で

お彼岸の中日なので 供養しているのよ との返事が返って来た

小生 小母さんと言ったが 小母さんでもない 娘でも無い 熟女でも無い 只ただ美しい女性で

世間で言う秋田美人だ!

その女性は 小生の事を訊いた上で この辺ではそろそろ稲刈りが始まり あきたこまちの米は

美味しいよ!其れに大曲の花火大会で打ち上げられる花火も また格別ですよ 今度来たら!・・・

と地元を称賛していた

こう言う女性は 旦那に対しても敬意を払うのだろうなと思うと 稲穂同然こうべを垂れる小生だ

      皆々  こうべをたれる  あきたか     明晃

 

名所旧跡など何も無い畦道に歩を進めれば 自分の人生を物語っているようだ

脚光を浴びる道でも無ければ 胡蝶蘭の咲き乱れる道でも無い

ただ自分が求める道に 歩を進める喜びは 「はぐれ人」に成らなければ分からないだろう

例え その道が苦難の道であっても

そもそも 生きると言う事は 苦しき辛いもの 其れを乗り越えれば 何か・・・・・

おまえ未だ寝ぼけてんのかよ!苦難を乗り越えても 何も在りゃ~しね~よ

要は 今を精一杯生きると言う事だよ!いい加減に成長しろよ!

と 心の中の勝手もんは朝から元気だ

 

ブログの冒頭に書き記したが

【はぐれ】とは 皆と一緒に生活が出来ない 変わり者 嫌われ者

と強がりを言ったものの やはり孤独は寂しい 

 

大曲の市街地に入ると 民家の軒先に祝日を祝う日章旗が 掲げられている

思わず 有った有った 神社仏閣 名所旧跡に劣らぬ 心が!

小生 何年振りかに目にしたが こころ踊らずには居られなかった

 

小生 この日章旗の意を 調べている処だが 時代は天照大神の時代に遡るらしく

心は日本神話の中へと誘われる

秋田新幹線 大曲駅近くに来ると 花火店の?店先には色々な大きさの花火が陳列してあるが

見た事も無い3尺玉 2尺玉などの大きさに 圧倒され 溜息が漏れる

こんな大きい玉を打ち上げるのかと 暫し足を止める

 

大曲駅に遣って来たが そこには大きな花火玉のモニュメントが

幅を効かせている

此処の花火は 関東で言う納涼花火大会とは 趣旨が全く違い 花火師達が業を競い合う

大会との事で その名は 世間によく知られている

宿を発ってから3時間半が経ち まだ午前7時半だが お昼近くと感じる小生の感覚が

まるで違っていて 何か不思議な感じだ

 

さらに歩を進めれば どこか懐かしい街並みが 遠い古へと我を誘う 

連想する江戸時代に 草鞋を履いて行きかう旅人の姿に 想い馳せてみた

やがて旧道は 国道に消され 歩を進める道筋が分からない

旅は 人生と同じ どの道に進むかによって結果は変わってくる

魚屋の道 科学者の道 宮大工の道 僧侶の道など色々有るが・・

『うるせ~な!くだらね~事いってんじゃね~ョ  何処でも良いから さっさと歩けよ』

と 突然もう一人の嫌な奴だ出て来て 何故か機嫌が悪い様だ!

 

かまう事なく

足の向くまま 気の向くままに 雄物川の支流 玉川の土手をに歩を進めると

何故か舗装道路は河川敷へ 土手道は砂利道となり 分れる.

砂利道に歩を進めれば やがて路は無くなる

  

アハハ!馬鹿たれ!人車が行き交うから舗装されてんだろう!

秋田美人とやらに うつつを抜かしてるから こんな事に成るんだよ~

邪念を捨てろ!邪念を!

   邪念を  すてて  またひろう      明晃

あ~ まだ人間でいられて良かった!  

土手道の草むらを掻き分けながら降りると 国道に出られた

其処には この地の雪深さを感じさせる 除雪グレーダ 除雪ロータリなど 多種多様な除雪重機が

所狭しと置かれ 雪降る冬の近さを感じさせる

 

その中で生活を営む人々にとって 積もる雪は白い悪魔の様に映るのではないか?

しかしその苦労を知らない小生は 降る雪 積もる雪は 大好きである

降る雪は 辺り一面を けがれの無い純白の世界に染あげる

昨年の春 長野駅をまじかにした 北国街道の旅で 上高地を源とする梓川 その本流となる

犀川に架かる橋の上からは 槍が岳を始め 北アルプスの山々が 雪装束に身をまとい 荘厳な面持ちで

鎮座しているのが見えた

その姿は 神職の正装にも似ている

山は 神道の本尊かも知れない 名だたる山の頂き近くには 鳥居が建っている 

また中山道の至る所には 山に登って参詣出来ない人のために 御岳山礼拝所が各所に設けられていた

頭がおかしいと思うかもしれないが 

小生も 富士山の神様の顔を 実際に見た事が有る

俺は気違い人か?

千葉県佐倉市にある国立民族資料館に行って 気違いでない事を晴らそうと行ってみたが

質問用紙を手渡され 記入して頂ければ 館長又はその筋の詳しい先生に

回答を願うと言う事であったが

所詮 実際に神の顔を見た事の無い人に 机上の空論が出るだけと決め付けると 

質問用紙は風に飛んで行った

 

おめ~ 大丈夫か?

資料館より 精神科に行ったほうが良いんじゃね~か?

うるせえ~ !馬鹿やろ~ あの時お前も 夜明け前の静岡県東田子の浦から

富士山のシルエットの中に  神様の顔を 見たじゃ~ね~かよ~!

嫌な奴が言うには 記憶には御座いません!と言いやがる

 

路を間違え 玉川の土手路から県道に戻り歩を進め 奥羽本線の神宮寺駅を通り過ぎると

やっとコンビニが在った

店内に入ると 椅子付きのカウンターが設けられ そこで食事が出来る様なスペースが設けられ

「イートイン」と呼ばれている様だが 旅人にとっては 最高の茶屋である

お茶とおにぎり2ケで空腹を満たし 旅の想いにふけながら 暫し休息をとる

 

再び街道に歩を進めれば 道路標識に秋田まで43kの表示がなされている

そんな事 小生にはまったく関わり無い事だ

路が在る限り 無心に歩くだけだ!

と 強がりを言ったものの 早朝の5時に宿を発ってから すでに5時間(20キロ)が経ち

精神的に 今が一番苦しい時でもある

その苦しさから逃げたいのか まだ朝の10時だと言うのに 心は今晩泊る宿を探している

眼に映る 『かみおか獄雄館』の看板に 宿泊の二文字を見つけると

またもや 勝手もんが出て来て そんなに楽がしたいのであれば 

俺が予約を取って来てあげるよ!

其処で 目を覚ます事なく 永久に寝てれば良いじゃネーか!と嫌味を言って来る

 

其れもそうだなと思いながら 歩を進めると やがて県道は 国道と合流する

その手前で 縁石に腰をおろし 秋j風に揺れるススキに 侘びしい季節の移ろいを感じながら

物思いにふける

たまに通り過ぎる車の運転手は 異様な顔つきで 小生を横目で見ながら

通り過ぎて行くが 小生は人目を気にしない迄に ・・・・・を積めた様だ?

 

尾花ゆれ  命おとして 枯れすすき     明晃

かれたなかに 美が ゆれる          明晃

貧相な花だが 季節を感じさせながら 人々の心の中に 忍び込む

小生もやがては枯れてゆき 自分の命を 尾花に重ねてみた

 

重い腰を上げ 歩を進めれば 一里塚の跡に出合い 行く道は 間違っていない様だ!

やがて 国道から分れる一本の街道らしき路に 誘われるままに進めば

『この先 橋の崩落により 通行止め』の看板が立っている

恐らく 7月の梅雨前線による大雨に因るものだろう

この時の大雨は 秋田県仙北地方を襲い 中小河川を氾濫させると共に 秋田新幹線の

法面を崩落させ復旧の目途が立たないとの 報道を思い出す

立て看板の先に居た集落の人に聞くと

この道は旧羽州街道だが この先 行って行けない事は無いが 怪我でもしたら大変だよ!

との忠告に 集落内を歩かせて貰う立場の小生にとっては 地元の人の意見に従わざるえない

国道に戻り 大回りを覚悟で歩を進める

秋田新幹線の跨線橋の上からは 崩落した街道の橋が見える

 

本来なら 宿場のあるJR刈和野駅近くを12時頃通り 昼飯と思っていたが 願いは

願いは叶わず ただ空腹に耐えて歩けば 「暑さ寒さも彼岸まで」のことわざを太陽は意識したのか

ありったけの光を集め 残暑として我が身に浴びせかけて来る

 

『 あ~!水が無い!』の呟きに

突如出て来た嫌な奴が なんてこった!お前はまだまだ 旅を甘く見て居るな!

水なんか もったいね~!生きたかったら てめえの小便でも飲んで置け!

と一喝される

 

下の写真に写る 遠くの山裾の集落まで行けば 自販機が在るだろう

喉の渇きに 頭を垂れて街道を歩けば オニヤンマ ミミズ 赤とんぼ等の亡骸が野垂れ

命のはかなさを 感じさせる

       諸行無常の おきて あり     明晃

ア~明日は我が身かな?

やがて国道から別れ 旧街道と思われる細い道に歩を進めると 自販機が眼に入り 小走りに向かう

喉を潤うすと 直ぐに我に返り 地図上の目印となった郵便局!が目の前に建っている

実は 其の先から右の路地に曲がり 道なき山道に入る事に成っていたが 今の時間は

午後1時40分だ!山に入るのは 午前中が掟

自販機の在った店の小母さんに聞くと 昭和24,5年頃までは 街道祭りなどが行われ

賑やかであったが 其れ以降は衰退の一途を辿り 村人も今の街道を知る由も無いと言う事だ!

時間も時間 無念の想いと共に 国道に路を求める

 

 山を削り谷を埋めて出来た国道は 何の味気も無く

足取りは重くなるばかりだ

 

そんな 味気の無い国道を 登り下りを繰り返しながら したすら息を切らして進めば

眼下に平野なる平地が見えて来た

この時の安堵感は 空腹はもとより 圧し掛かる孤独 膝の痛み 宿の不安は吹き飛ぶ

やがて行く道は 国道から羽州街道に戻ると

踏切を通過する秋田『新幹線』と出くわす

思わず 踏み切りを通過する新幹線!?!? と思ったが 

無機質なフル規格の新幹線と比べると 秋田新幹線からは 鉄道としてのの鼓動が線路から 伝わってくる

 

其の先に在る 奥羽本線羽後境駅に近ずくと 辺りは街並を形成して 宿が在る事を

期待を持たせる

しかし たまに出合う人に訊いても 良い返事は返ってこない

3~4台停まる 路線バスの営業所に待機する運転手に訊いても この街には旅館などは

ないね!の返事に 望みは断たれる

宿が見つからないまま歩を進め 羽後境駅に立ち寄り 時刻表を見ながら思案に暮れて居ると

嫌な奴が おいおい!電車に乗って何所に行くんだ 未だ午後3時半前だぞ!

歩けよ!歩けよ!宿が無いからと言って びくびくしてんじゃ~ネ~ョ!

それに反論すると

とうとう 喧嘩が始まってしまった

馬鹿野郎!俺は歩き始めてもうじき10時間(40k)に成んlだぞ!

棒の様になった足で 未だ歩けと言うのか 

お前は 口を動かすだけで 一歩も前に歩いて イネ~ジャネ~か

たまには もう少しだ頑張れよ!とか言って俺を励ましたらどうなんだよ!

 

結果として 嫌な奴が出て来なかったら 楽な方に逃げる様にして 電車に乗ってしまっていたろう

気持ちを切り替え 街道に戻ると おりしも大仙市議の選挙運動が行われ 小生に向かっても

街宣車から調子の良い言葉で連呼を浴びせて来る

摺れ違うも何かの縁と 手を上げて応える

やがて国道と交差したが 街道らしき細い道の方に歩を進めると正解であつたが

30分位歩くと また国道と合流している

其処には 他に行く逃げ道は無く 国道を行くしか無い

裏を返せば この先の国道は 上り下りを繰り返す路に成っているのだろう

羽後境駅を発ってからは 写真を撮る気持ちの余裕など一切なくなる

ただ 今の現実と対峙しながら一歩 そしてまた一歩と 坂道に脚を前に進める他は無い

時には  ふらつき つまずきながら 先に進もうにも 中々足が前に出無い

何時しか歩道も無くなり  途中で街道の道を見落とした様だ

折れる心に 忍びよる夕暮れ 加えてぽつぽつと落ちて来る雨粒に 自分自身どうして良いものか

分からず 泣きたくなってくる

嫌な奴が何を血迷ったのか 峠は越えた様だぞ !もう一息だ!と

心の中で後押しをして来た

長い下り坂に歩を進めていると 木々に覆われたせいか 辺りは薄暗くなって来た

心細さは辺りを支配し 恐怖へと変化してゆく

その想いはつかの間で済み 街道は市街地の外れに出て来た

 

一難去ってまた一難だが

日も暮れ始め 車のテールランプの明りが一際目立つ様になる

この辺りに在るはずもない宿を探すより 近くに在るだろう和田駅を

目指す事にする

そこから電車にて秋田駅迄行き 駅前近くで 宿を探す事にする

だが その和田駅がどの辺に在り どの位の時間が掛るか分からない

上空には 怪しげな雲が立ち込める

そんな悩みを思案しながら歩いていると 背後でバシャバシャと異様な音がする

振り向けば 道路に大粒の雨が落ちおてくる 雨音であった

その瞬間 小生にも降りかかり 通り掛ったガソリンスタンドの屋根下に逃げ込み

難を逃れた

車に給油している運転手に 和田駅の場所を尋ねると この先の信号を左に曲がれば

駅が見えますよと 教えてくれた

だが地方の直ぐですよは 30分掛ると見なければならない

小降りになった隙を見て 小走りに2~3分走ると 本格的な土砂降りに 道は川のようになり

民家の車庫の軒下に逃げ込み しばし雨宿りする

遣り過ごす雨 心の中では 孤独と共に苦しく辛い旅の 何所が面白いのか ?

如何に『はぐれ旅』とは言え 度を越しているのではないかと 自問自答している

時計を見ると 午後6時を回っている

急かせる時に負け 小降りになった雨の中 軒下を飛び出して駅に向かったものの

教えて貰った路と違う!

だが どこか古を感じさせる街並みが 羽州街道だと教えてくれる

其処を左に曲がると正面に駅らしき建物が見えた

一時退却の想いと共に駅に向かうと 時折現れる商店街のネオン灯の中に

『外山旅館』と書かれたネオン灯があった

しかし その場所には建物は無く更地となっていた

彷徨える小生は 世の中こんなもんでしょう!と雨の上がった天を仰ぐ

そこへ 丁度歩いて来た女性に尋ねたら その旅館は国道沿いに移転したとの事だ!

舞い上がる心を押さえれば 心の高鳴りが 泊めてくれるか?空室は在るのか?藁にも縋る思いで

急ぐ 時はもうじき午後7時だ!

引き戸を開けて 願いを乞うと 女将さんらしい人が出て来た

神にすがる思いで 『今晩一部屋空いてますか』と声を発したが ・・・・・

小生の姿を見てか 惑う女将に 『実は羽州街道を歩いて旅をしている者なのですが

今朝 大曲を発って やっと此処に辿り着いたところなのですが』

と言うと 食事は用意出来ませんが宜しいですかの問いに 『とんでもない 一晩

泊めさせて頂ければ』と低姿勢で返事する

疲れ切った身体は 靴を脱ぐ事もおぼつかない

その姿を見た女将さんは 小生を哀れんでくれたのか 牛丼位なら出来ますよと 気遣って呉れた

 

湯船の中で疲れた体を癒して居ると 今日一日の出来がとが走馬灯の様に 脳裏を駆け巡り

14時間約56キロとよく歩いたものだ!

食堂の前を通ると 町山さん!食事の用意が出来ましたよ!と声を掛けて呉れる

其処には 普通の宿泊のお客さんと同じ様な食事が膳に並んでいた

此れには 小生も感激せずにはいられ無かった

酒が入ったせいか 何時しか女将さんと二人の会話が弾み 女将さんに色々尋ねてみた

普段は飛び込みのお客さんは断って居るのだが 町山さんの容姿だけを見たら断っていたでしょうネ 

しかし会話の中に 人間性を見出せたから 泊って頂いたのよと 持ち上げられた

ところで 手伝ってくれているお嬢さんの事を訊くと 否 私一人ですがと答えて来た

では 宿に入る前に見えたお嬢さんとは 女将さんの事だった様だ

半信半疑で 生まれ年を訊いたら 小生より二つ若い昭和24年生まれであった

目の前に居る女将さんの顔に その痕跡を探したが何所にも見当たらない

これぞ 秋田美人と言われる故か

女将さんいわく 秋田美人は横手方面に多いとか言っていた

話は尽きる事無い様だが 女将さんに感謝しつつ 蒲団の中に秋田美人を夢見て潜り込む

旅も人生と同じ 苦(9)あれば 楽ありで

楽とは ほんの一瞬(1)しかない と言う事だ!

皆さんも 瞬きしている内に 楽は通り過ぎて居るかも知れませんよ!