美紀の心に穴を開けたのは実際親だがそんなの親にはわからないだろう。
美紀はずっと同じ事を思い続けた。
目の前で怒鳴っている父を無視して…。
でも、美紀の心には他にも言いたいことがあったみたいだ。
それはお金を取ったことに関してだった。
美紀自身やはり少しは反省もしていた。
勝手に汗水たらして稼いでいるお金を盗んだからだ。
自分も同じようにお金を取られたら嫌な思いをすると思ったのか、美紀の心では反省している部分も少しはあったようだ。
そして、美紀はその頃から親におねだりすることがなくなった。
できる限り自分で出そう。
それが美紀自身でのけじめというものらしい。
高校生になった美紀。
中学生の頃と比べると落ち着いた様子だ。
そして、父からパソコンを買ってもらい、最近では家に1人でも暇つぶしのパソコンで夜を過ごしていた。
しかし、美紀はいつのまにかインターネットを使うようになってから恋愛サイトまでに手を出していた。
そして、ある日恋愛サイトを通じてひとりの男の人に会おうと言われた。
美紀はあまり不安や恐怖心と言うものがなく普通に返事を出した。
その相手の人は車で来るらしく美紀は最寄駅の名前を教えた。
そして、その日の服装も決めてどんな洋服かを教え目印にした。
会う日は今度の日曜日。
美紀は親に友達と遊ぶと言って会うことが決まった。
当日。
彼の車は黒のワゴン車。
車種はホンダとか言っていたことを美紀は思い出し待ち合わせに向かった。
待ち合わせ時間になり美紀は時計を気にしながらあたりを見回した。
すると、男の人が黒いワゴン車から出てきてこちらに向かって走ってきた。
「優ちゃんかな?」
美紀は本名がばれないようにそう男の人に名乗っていた。
「誠さんですよね?」
美紀は敬語で尋ねた。
相手の男の人は縦に首を振ったので、美紀は笑顔で返した。
そのあとすぐそこから移動し東京の方に移動した。
そして、彼は車の中で美紀の顔をちらちら見ながら運転していた。
美紀がどこに行くのか尋ねるとよく行く大きなゲームセンターに連れて行ってくれるらしい。美紀は笑いながらたくさんの話をしたり、たくさんの話を聞いた。
30分ぐらいしてゲームセンターについた。
美紀はあまりの大きさにびっくりしてわくわくしっぱなし。
また、中に入るとカラオケやビリヤード、ボーリングなども入っていて美紀は興奮しまくり。
色々なところを見て回っているとUFOキャッチャーの中にかわいいハートのクッションがあるのを見つけた。
「かわいー。私の部屋に絶対似合いそう!」
「どれ?取ってあげるよ」
美紀は横で見ながら取れることを祈っていた。
そして、5回目にしてやっと取れた。
美紀はそれを抱きながらゲームセンターを回った。
「なんか、優ちゃん子供だねー」
「あっ。一緒に歩いてて恥ずかしい?」
「ううん。そんなことないよ。ただかわいーなって思っただけ」
そういって美紀の頭をなでなでした。美紀は少し恥ずかしながら笑っていた。
ゲームセンターを歩いてもうかれこれ2時間。
男の人は少し疲れたのか近くのベンチに座った。
そして、美紀の手を引き隣に座らせた。
「ホント優ちゃん小さくて可愛い」
「ありがと。そんな誠さんもかっこいいいし」
「ほんとに言ってるの?」
「ほんとだよ?」
「ならさ、これからホテル行かない?おこずかいあげるからさ!」
男の人は少し小さな声で美紀に言った。
美紀は戸惑うこともなくそれを了承した。
美紀の中でその言葉は予想範囲内だったようだ。
「いくらくれるの?」
「2万でどう?」
「2かぁ。もう少しあげてくれるとうれしいなぁ」
美紀はもう手馴れているかのような素振りで甘えた声で彼を手玉に乗せた。
「じゃぁ、3万で!」
「ほんとに?やさしー。ありがと」
美紀はテキトーな言葉を並べて彼の気持ちがさめないように接している。
けど、そんなのも繰り返ししているとやはり親にばれてしまった。
毎日メールをしているわけでもなくただ、お金の使い方が前より荒いことに気づいた親は勝手にパソコンの履歴などを見て気づいたらしい。
美紀は前にも見た事あるような光景をまた目にした。
父が怒鳴っていて後ろで泣いている母。
でも、今回は少し違った。
「そんな子に育てた覚えはない。あんたは私の子じゃない。ここから出て行って。汚らわしい。」
母は美紀にそう言った。
親に気づかれたのは大学に入ってたった8ヶ月目。
美紀も、もう家にいるのもつらく束縛されるこの家が息苦しかったのか、軽く荷物を持ち家を後にした。