駅から少し歩いたところに住宅街がある。
その中の1つが美紀の家だ。
外見は少しこじんまりしていて赤っぽいレンガで作られた家が目の前にある。これが美紀の家だ。
2人はまた目を合わせて玄関のドアノブに手をかける。
美紀はもう半分吹っ切れたのか勢いよくドアを開けて家に入った。
リビングに入り美紀は真美と一緒にソファーに座った。
目の前には父と母がもうすでに座っていた。
「で、何しに戻ってきた」
父はもうカンカン。
母は私の目を見つめている。
リビングでは父の声だけが響いて、その後は沈黙のままだ。
その中、最初に口を開いたのは真美だった。
「美紀は昨日私の家にきて色々心配かけさせてすいませんでした」
「それは、こっちの台詞よ。なんか夜中にお邪魔させてごめんなさい。
ご家族の方にも迷惑かけさせちゃったでしょう…」
「いえ。そんなことありません。
逆にいつも私が美紀に迷惑かけさせてるので…。
それにいつも美紀の家にお邪魔しているのは私の方なので…」
そんな話をしていたらやっと美紀の口が開いた。
「今回は、家を出て心配かけさせてごめんなさい。
メールも遅くなっちゃったし…。
でね、真美には私のすべてを話したの。
私の過去のことも…。私の気持ちも…。
それで、今回色々相談って言うか、言いたいことが山ほどあるの。」
美紀の母は優しい顔で美紀の話を聞いた。
美紀は過去のことからそのとき思ったことまで全て言った。
そして、今後のことも自立したいことも…。
そして、この家にいることが苦痛なことも…。
親の愛情が自分にとってどういうものだということも。
甘えているということも…。
全てを話すのにどれくらいかかっただろう。
真美は二度目なのに真剣に美紀の隣で話を聞いてくれている。
「そうだったの。でも、私たちは甘えてほしいのよ…。別の形でね。
今までこうなったのは私たちの育て方が間違いだったのかって、
美紀がいない間ずっと考えていたのよ」
「お母さんたちの育て方に問題なんてないよ。
ただ私が自分の気持ちで自分の意思でやったことだから。
それに、お父さんにもお母さんにも感謝してる。
私をここまで育ててくれて。
でもね、私のしていることでお母さんたちに迷惑かけてるなら
私家を出ようと思うの。
それに、もう今までみたいな事はしない。
友達とも真美とも約束したの。
自分を傷つけないって。
それでね、私小さいけど夢があるんだ。
それは親に迷惑かけないで自立すること。
そして有限実行をすること。
自分が言ったことは最後まで突き通したい。
自分の意思で、自分の気持ちで。それをわかってほしいの」
「でも、だからって1人暮らしする必要はないんじゃない?」
「ううん。必要なの。家にいられないの。
お父さんやお母さんが1人暮らしで心配って言うなら来てもいいから。
自分で生活してみたい。
そんな簡単なことじゃないのもわかってる。
でも、やってみたいの。
それでお母さんとかが私のことを見て…、
それでもだめだって言うなら家に戻ってくる。
自分からは戻っては来ないつもり」
「でもねぇ…。あなたはどう思う?」
「いいんじゃないの?好きにすればいい。
でも、今言ったよな。自分からは戻ってこない。
それちゃんと有限実行しろよな。
絶対にやっぱり一人暮らし辛いから無理って帰ってくることは認めないからな。
あと、友達とも約束したんだから、それは絶対破るな。
約束一つ守れないやつには育てた覚えはないからな!!」