私の読者に成って頂いているmikaさん(みかの空色アロマ&石鹸)から、前回のそば屋のソーバーの記事に関連し、トレースについてのメールを頂戴しました。ありがとうございました。

mikaさん宛てにメール回答しようと書き始めた文書でしたが、皆さんへも本文を公開し、皆さんの石鹸つくりに少しでも参考になればと考え以下を公開することにしました。


私の石鹸つくりは全くの素人スタートであり、残念ながら教本を読んだこともありません。ネットで学んだ限りでは、ご承知の様に石鹸は結晶であると理解しています。結晶である石鹸の品質を高めるには?ということを中心にネットサーフィンしていました。

その結果が各種脂肪酸の複合結晶を上手に作るために重要なポイントは油脂の決定と其の量と撹拌作業と保温という考えが纏まってきました。

油脂と油脂量は自動計算ソフトに頼っていますが、撹拌作業とは油の粒を如何に小さくさせるか?と言う作業であり、小さな油粒であればあるほど複合結晶の大きさも小さくなると考えています。とても重要な作業です。

種類の違う脂肪酸ナトリウムを複合結晶させたのが石鹸ですが、この結晶は金属や鉱物の結晶と違い半流動的・半固体的結晶という範囲に入る結晶であり、この状態が液晶と呼ばれる物質です。

ここで注目すべき点は、液晶を作る脂肪酸ナトリウムが小さければ小さい程液晶としての結合力が強くなるという点です。従って、油脂・油脂量が決定されたら撹拌時の温度もなるべく高めの温度を維持するかということと、小さな油脂粒を如何に作り、如何に苛性ソーダと化学反応させるかということに注力していまます。

透明石鹸はアルコールの力を借りて液晶の核と成る脂肪酸ナトリウムの粒を小さくさせる事で透明な石鹸と成っています。洗浄力や泡立ちは別にして透明石鹸は硬くしっかりした石鹸と成っています。

手作り石鹸の世界ではジェル化(ゲル化)という重要な言葉がたびたびに出てきます。

私の石鹸つくりの最後のポイントは、保温中の石鹸内部で材料が最高の化学反応をして、ゲル化が如何に上手くできるか否かということにも拘っています。

ゲル化というのは、各種の小さな脂肪酸ナトリウムの粒が不規則に固まったゼリーの様な状態を言います。保温中に脂肪酸と苛性ソーダは化学反応の熱で対流していますが、この化学反応を如何に継続させやすくするかと言う事で最適なゲル化が起きる訳です。そのためには適切な保温温度が重要となるわけです。保温中の化学反応をより促進させる事ができる最低温度は30度以上というデータがありますが、私は保温箱の内部温度データを24時間で計測した事が無いので、あえて50度をキープしたいという表現を使っています。

保温水として60~70度の湯沸かし器のお湯を利用していますが、自作保温箱では12時間経過すると水温が30度前後になってしまうため50度をキープするという表現をしているのです。自動的に温度をコントロールできるなら40度前後が最適かもしれません。

ただし、保温中の石鹸内部は化学反応熱で相当の発熱をしていることから、保温水の総熱量が多すぎると、石鹸材料が高温過ぎてしまい化学反応が激しくなり石鹸の表面が噴火状態となります。保温箱の保温能力にあわせお湯温と湯量を決めるべきです。