昼飯を食べていた。

白米ともやしの味噌汁。

呼び鈴が鳴った。

宅配便だったので荷物を受け取った。

食卓に戻るとレインが味噌汁を食べている。

カツオダシに惹かれたのかペロペロと。

 

レインさ。

猫って熱いの苦手だから猫舌なんじゃないの?

味噌汁まだ冷めてないよ。

もやしも気に入ったの?

まあ好きなものを好きなだけ食べればいいけど

猫には塩分多いしなにより熱くないの?

 

レインと暮らして17年。

たいていのことには慣れたけれど

熱い味噌汁食べるのには少しビックリ。

 

しかしレインは本当に健康だ。

毛艶もよく鳴き声にもハリがある。

ワクチンもしてないし総合栄養食でもない。

外が大好きだからノミ・ダニ退治の薬は

定期的に使っているけれど

動物病院には行ったことがない。

 

1度ケンカしたのか原因不明だけれど

お腹が大きく裂けて血だらけで帰ってきた。

かなりの出血だったから病院に連れて行き

治療・消毒をしてもらいたかったけど

レインは断固拒否して

オレの手の届かない家具の隙間に潜り込んだ。

そしてそこで何日も何日もじっとしていた。

真夜中に水を飲みに出てくるけれど

ご飯を食べた形跡もない。

このまま死んでしまうのではと心配だった。

だけどレインは自己治癒能力というか

とにかく自分舐めて自力で治した。

お腹を確かめてみると傷口は塞がっていた。

元気になりまた外遊びの日々。

 

考えてみれば野生動物はみんな自分で治す。

「病院へ行く」って発想自体がない。

もちろんワクチンや薬とも無関係。

痛くても騒ぎ立てたりすることもなく

ご飯にありつけず空腹でもじっと耐える。

過保護な人間の視点では過酷に思えるけれど

それが「自然」ってことなんだろうな。

 

今度からレイン用の皿に味噌汁を用意するつもり。

あまり熱くない物をね。

 

にゃままま。