2019年12月27日より、日本で公開されているスペイン映画

「誰もが愛しいチャンピオン」をご紹介したい。

 

2019年度のスペイン映画アカデミー主催のゴヤ賞、アメリカのアカデミー賞みたいな賞で、

作品賞を獲得した作品。

丁度去年の今頃、スペインに行った帰りの飛行機で初めてみた、そして、驚いた!

ストーリーはいたってシンプル。

知的障害の方々のバスケットボール・チームに、交通違反の罰則として社会奉仕活動に

やってきたアラフォーの元プロチーム・コーチ・マルコとチームの皆さんとの心温まる云々・・・というのがわかりやすいと思うが、

いや、これは想像を超えるメチャクチャだった。

そもそも、この交通違反の担当検事(?)が、チームの責任者のおじいちゃんの姪で、

いきなりピンポイントでおじいちゃんのチームでの社会奉仕活動は、そりゃ、どう考えてもおかしいだろ!と、主人公に同情した。

ま、「スペインならありってことで・・・」

 

チームのメンバーはマイペース。詳しくは映画で見ていただきたいのだが、

みんな、コーチのマルコより大人だったりする。自分のことをしっかり受け入れているのだ。

自分を受け入れているから、相手のことも受け入れる、そんな感じなのだろうか。

そんな彼らの行動は、マルコには理解不能だったりもするが、

それについていくマルコって、意外といい人だったのか。

彼らの何人かは、家族に受け入れてもらえなくても、その状況を理解し、自活する道を選び、

しっかりと生きている。カノジョもいるらしい。

 

マルコと言えば、自分の気持ちが一番で、ママとの微妙な関係、奥さんとは別居、チームは解雇・・・

とにかく勝ちたい! 負けるの絶対イヤ!それじゃ、どこでもうまくいかない。

子どもを持つかどうかで奥さんと揉めて、奥さんにピーターパンと言われてたなぁ。

ありがちで、身につまされて、見ていて痛すぎる・・・

 

そんなマルコを、チームのメンバーは黙って見守っている・・・か、対立と和解・・・がパターンだろう。

ところが、チームのメンバーは何もしない。マルコのコーチのもと、練習を積んで大会で勝ち上がるのだが、

何も余計なことはしない。彼らがしているのは、自分であることだけ。

それぞれが、自分に出来ることをやっているだけ。

勝てばうれしい、次の試合が楽しみ! 負ければ、ちょっと凹む、でも次の試合が楽しみ!

そんな繰り返し・・・ 淡々と、でも少しずつ前進している。

そんな彼らと接していると、マルコもだんだん丸くなってくるわけだ。

あれー、オレは何やってんだろう? それでか、だんだんチームのお父さんになっていくのだ。

詳しくは映画をご覧ください。

 

この映画2018年のスペイン興行収入第一位。ゴヤ賞作品賞。

チームのメンバーの一人を演じたヘスス・ビダルは助演男優賞。

社会現象となったこの映画は、スペインにおける障がい者の活躍の

幅を広げているらしい。

 

そういえば、この秋にマドリードを訪問した際に、ある財団が運営するギャラリーで、

展覧会の順路を案内していた女性が知的障害の方だった。

たくさんの人が行き来している中で、笑顔で逆走する人を注意したり、

探している絵がある場所に行くルートを的確に説明してくれる。

セニョリータ、ありがとう。おかげで無駄に階段を上り下りせずに済みました。

 

何を以て「障がい」といういのか、この映画を見ていて、わからなくなった。

その人の持っている能力は、何で測られているのか・・・

そう言っている自分にだって、まだまだ偏見があるのは間違いない。

そう思いながら、自分も彼らのように毎日をしっかりと自分らしく生きていきたいと思った。

自分が自分らしく、無理せず生きているならば、他の人のことも受け入れることができるだろう。

 

社会の批判を恐れずにこの映画を創ったハビエル・フェセル監督。

ご自身も知的障がいのお子さんを持つマルコ役のハビエル・グティエレス。

この二人の今後の活躍にも注目したい。

 

この映画が広く受け入れられるスペインという国、好きだな。

そんなスペインだって、まだまだ制度面での支援は追いついていない。

偏見を持った人だって、たくさんいる。日本も同じ。

理想は高く、足を地につけて、少しずつ、変わっていくといいかなぁ