コンビニに振込をしようとドアを開けようとすると
誰かが私の名前を呼んでいる。
アレッ!
公衆電話の陰から黒い陰のような人が声を掛けた。
私は思わず、その彼の顔のどす黒いのにたじろぐ。
知人の60代の男性。
3ケ月前に、ある総合病院で検査入院で入って
いた知人だった。私も偶然その日が健康診断で
そこの病院で検査だったんです。
いつもの彼なら、バリッと背広を着こなして、シャツ
も高そうなものをいつも着用していたんです。元ホ
テルのマネージャーをやっていた方なんで、いつも
チャンとしていたイメージの方だったんだけど。
その時の彼はヨレヨレのTシャツにシワだらけの
ズボン。それにヒゲを剃ってないようで、余計に
浮浪者のような風体です。
彼の方から、ボソボソと話だしました。
「末期ガン。食道の」
「来月手術は受けるけど・・・」
「女房とも別れた。別れの時、お金の使い方
が悪いとさんさん責められた。」
「とにかくショックだった。」
彼の話しぶりから、ここ3ケ月会っていない間に
人生のどんでん返しがあったようだ。
彼の奥さんとは顔見知りで彼女がやっている
歌の活動のお手伝いもしていた間柄で、その関係
で旦那さんである”彼”とも知り合ったわけです。
彼のその憔悴しきった姿を見ると、私もそんな
人生とは無縁でないかもなと思う。
彼は携帯電話が奥さん名義だったんで、電話が
なく、コンビニの電話で用を足そうとしていたよう
です。
私は彼と会ったことで思ったんです。
今を大事にしないと・・・
今の連続が未来なんだ。
今やっていることが未来を決めるんだって
だから、悔いのない生き方をしないといけないと
彼から学びました。
彼は周りからも、煙たがられる存在で、1人
よがりで、わがままで、金銭的にもルーズでお酒
を飲むと人が変わって、人と絡むことがあり、
わたしも彼とは深い付き合いは避けていた
んです。
奥さんから見放されるなという予感は以前から
していたんです。奥さんを大事にしないんだもん。
奥さんの口からも、周りからも辛口なコメントば
かりです。
まあ、でも、その憔悴しきった彼の姿をみると
人生はわからないな。でも、今のどん底から
脱出するサインは何回も彼には送られていたん
です。
それを彼は彼流で通して・・・結局。人からも
奥さんからも見放されたわけです。
彼の手術が成功して、脱皮した彼をみたい
もんです。