「共謀罪」 正当な目的、存在しない
刑罰は多大な人権の制約を伴う。だから、保護に値する利益がなければ、刑罰を科してはならない、と憲法上は考えられている。「共謀罪」法案はそうした憲法の要請に反している、あるいは反した適用例が数多く出てくる内容だと思う。
政府は法案の立法目的として、テロ対策と国際組織犯罪防止条約の締結を挙げている。だが、テロ資金の準備は既に「テロ資金提供処罰法」で処罰の対象となっている。条約もテロ対策ではなく、マフィアや暴力団による金銭的利益を目指した組織犯罪を対象としたものだ。
現行法でも条約を締結できるとの指摘も少なくない。百歩譲って、諸外国からのクレームや問題が生じたら、その時点でそれらを解消するための立法を検討すればいい。
つまり、政府の説明はうそやごまかしでしかなく、そもそも法律をつくる正当な目的は存在しない。内心の自由でも一般的な行動の自由でも、これで自由を規制するならば、違憲の疑いが強いといわれても仕方がないだろう。「監視社会への懸念」と「テロ対策の必要性」のどちらを優先するかという議論は、事の本質からずれているのではないか。
安全保障関連法の時もそうだったが、「共謀罪」法案を巡る政府の説明や姿勢は極めて不誠実だ。
問題のある法案を繰り返し強引に通そうとするのは、これぐらいのことでは政権の基盤は揺るがないと学習し、横暴だからに他ならない。



