「人生は恐れを知らぬ冒険か、それとも無か。そのどちらかである」とはヘレン・ケラーの言葉だ。
見えない、聞こえないという障害を持ちながらアン・サリバン先生の忍耐強い教育で話すことができるようになった「奇跡の人」という映画や舞台は有名だが、ヘレンが女性参政権を求め、人種差別や死刑反対の政治活動に熱心だったことを知る人は少ないかもしれない。
日本など世界各国を訪れ、多くの人に影響を与えた。 まさに冒険に満ちた生涯だった。
現在の日本にも盲ろうの人が推計約1万4000人いる。
視覚障害と聴覚障害は法律に規定されているが、「盲ろう」は法的な定義がなく、教育や福祉の保障については遅れている。
「宇宙の中にひとり取り残された感覚」 「1日が40時間にも50時間にも思える」。
そんな人々の暮らしを追った~ドキュメンタリー映画「もうろうをいきる」(西原孝至監督)が東京・ポレポレ東中野を皮切りに全国で順次公開される。
目と耳に障害がある盲ろう者と、彼らを支える人々の日常を追ったドキュメンタリー。全国各地で生活している盲ろうの人々を訪ね、宇宙に一人取り残されたような孤独と向き合いながら生きる姿を映す。監督は、『わたしの自由について~SEALDs 2015~』などの西原孝至。コミュニケーションの意味を考えさせられる。
佐渡でひとり暮らしをする女性、震災と津波に遭った石巻で生きる男性、柔道を続けながら結婚するために自立を目指す広島の青年。
まったく見えず聞こえない人もいれば、耳元の声なら聞こえる人、視界の中心部だけ見える人もいる。
家族の世話や福祉で守られているだけではない。
その暮らしは実に多様だ。「指点字(ゆびてんじ)」「触手話(しょくしゅわ)」などのコミュニケーションを使って周囲との豊かな人間関係を紡いでいる。
それぞれが「恐れを知らぬ冒険」の人生を歩んでいる。