原爆投下について作家の井上ひさしは「あの2個の原子爆弾は、日本人の上に落とされたばかりではなく、人間の存在全体に落とされたものだ」と書いた(「父と暮せば」)。
被爆者たちは、核の存在から逃れられぬ20世紀の人間を代表して地獄の火で焼かれたのだと。
至言である!! この認識こそ核を考える原点だろう。
ただ、今年の広島原爆忌の1カ月前、国連では122カ国の賛成で核兵器禁止条約が採択されたが、日本が反対に回ったために「唯一の被爆国」の事情は複雑になったのである。
そして、ここ10年余り、軍縮会議を通じて顔なじみになった研究者たちの微妙な対立だ。
意見の相違はいいとして、日本政府におもねってひょう変し核禁条約に←反対した人も少なからずいるようだ。
「御用学者」のまん延? 政府審議会などの委員に選ばれたくて核問題でも「そんたく」が横行するのか。
事実なら原爆の犠牲者たちに顔向けできまい。
原点を思い出そう。北朝鮮情勢は恐ろしい。米軍の助けは不可欠だ。
しかし、地獄の火は朝鮮半島から襲ってくるとは限らない。
核廃絶は理想ではなく人類が生き延びる不可欠の条件だ。
そう肝に銘じなければ、人間はいつか「過ち」を繰り返すだろう。