廃墟を歌う105 川南造船所01
亡くなった長男が残した「廃墟游耽」を「歌」にしました
宣伝「今日は二人で歩きましょう」……電子書籍です
長男です
訪問日:2006/08/25
廃墟と自然の旅、6件目。
伊万里港の西海岸にその体を横たえている、川南造船所跡。
それは、一枚の写真が始まりだった。
廃墟をネットで漠然と追っていたある日、
画面の向こうに広がる、この世のものとは思えない光景に衝撃を受け、
そのまま食い入るように写真を見ていた。
高い壁と天井に囲まれた空間を、植物たちが我が物顔で埋め尽くす、廃墟の光景。
廃墟という死のイメージと、緑のもつ生のイメージ。
この相反する二つの存在が同時に介在することで、
現実世界とかけ離れた、あまりにも神秘的な世界を作り出している。
凄まじい緑の浸食。ツタというよりも木が絡みついている。
現在は建物周辺に有刺鉄線が張り巡らされているので、海側の迂回ルートを通る。
「凄まじい緑の浸食蔦からむ手前に写るは有刺鉄線か」
海面に映りこむ柱。
満ち潮で風の無い日にしか見ることのできない光景だ。
「船台が穏やかな海に映りこむ鏡船台自然のいたずら」
静寂だけがこの場を支配している。
「川南の廃墟の柱が織りなせる矩形三角平行柱」
振り返ると、朝日がまぶしい。
「早朝の朝日に浮かぶシルエットクレーン走った船台の跡」