【波うららかに、めおと日和】 西香はち【5巻発刊中】
【作品情報】
4姉妹、三女のなつ美の結婚が決まったのが戦前、
昭和11年春のある日。
父親から翌週が結婚式だと知らされます。
お相手は帝国海軍に勤める瀧昌(たきまさ)。
お互い、一度もあったことのない(と思っている?)相手との結婚。
結婚式当日、瀧昌は本人ではなく写真。
瀧昌は仕事で結婚式さえも出席できず・・・・・・
なつ美が瀧昌に会ったのが結婚式の2週間後。
お互い異性には不慣れな上、
初夜を理解していないなつ美。
瀧昌は手をつなぐことからゆっくりと距離を縮めます。
昭和初期の夫婦のお話。
【感想】
最近の推し漫画です!
本当に初々しい、可愛らしい夫婦の話
バックグラウンドは昭和初期&帝国海軍。
帝国海軍豆知識や海軍の隠語、
昭和11年前後の思考や生活の様子なども知ることができ、
盛沢山の要素で楽しめる漫画です。
結婚してから恋愛している感じです
手をつなぎ、ハグをして、キスをして・・・・・・
段階を踏みながら・・・・
且つ、お互いを思い合う&優しい雰囲気に包まれている漫画。
笑ってしまったのが、
初夜が終わっても子供の作り方を理解していなかったなつ美
そして、寝ている瀧昌にやんごとなき事情で夜這いする(?)なつ美。
夜這いに耐える瀧昌は海軍五省(※)を思い出す努力をし、
冷静なろうとする様は少し気の毒でした(笑)
(※)海軍五省
一 至誠に悖(もと)るなかりしか
〔誠実さや真心、人の道に背くところはなかったか〕
二 言行に恥づるなかりしか
〔発言や行動に、過ちや反省するところはなかったか〕
三 気力に欠くるなかりしか
〔物事を成し遂げようとする精神力は、十分であったか〕
四 努力に憾(うら)みなかりしか
〔目的を達成するために、惜しみなく努力したか〕
五 不精に亘(わた)るなかりしか
怠けたり、面倒くさがったりしたことはなかったか〕
昭和7年、当時の海軍兵学校長【松下元】少将が創始したものだそうです。
今でも海上自衛隊の幹部候補生学校のホームページに掲載されていました。
https://www.mod.go.jp/msdf/mocs/mocs/tradition/gosei/index.html
又、初夜を決行した翌日、
なつ美と瀧昌がそれぞれ・・・・・・・
夜の事を思い出すあたりがなんとも可愛らしい
甘ーーーい雰囲気が感じ取れます
銭湯帰りの夜デートも可愛らしくて好きなシーンです。
5巻にある海軍式の家事号令も楽しい!
一方で1922年~1936年までの海軍の休暇と呼ばれる期間が終了し、
忍び寄る開戦。
いつ何が起こるか分からない瀧昌の緊張感や不安感が痛いほど伝わってきました。
又、只でさえ帰宅日を言えない職業。
帰宅日が全くわからない瀧昌を待つなつ美の寂しさにも胸が締め付けられます。
温かい幸せな気持ちになる日々の生活は昭和14年以降の厳しい環境を想像してしまうと・・・・
より一層、ホッコリした2人の平和な生活が尊く思えます。
【絵】
何と言っても、
抜群に2人の雰囲気が感じ取れる漫画です。
甘い新婚の仲の良い雰囲気、
瀧昌の仕事に対する緊張感のある雰囲気。
なつ美の一人留守番する寂しさ。
又、印象的なのはなつ美の柔らかい、
朗らかで優しい人柄の描写。
素晴らしい!
とても楽しい時間が過ごせました‼