地味《4月12日》

 暖かかったと思ったら、次の日や夜は寒いといった、寒暖の差が激しい日が続いている。
 そのためか、公園の桜は満開が続いてる。
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「ただナ、公園の満開の桜を見ると、去年の辛かった日を思い出すんだ」
 そう、ボクが「こっち」へ来たのが4月3日の朝。
 ボクも「しんどい」日が続いたけれど、それに付き合ってくれた大親分もそうだったんだ。

 まあ大親分のぼやきはその辺にして、池の浅瀬でちょっと気味の悪い動きがあった。
 花びらが舞い落ちた浅瀬で、泥と同じ色をしたものが「のた」くって(「ぬた」くって)いる。
 よくみたら、大きな鱗が見えた。
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「ははぁ、鯉にも恋の季節がきたんだ」

 桜並木の陰で、地味な黄色の花が咲いている。気がついて、眺める人はほとんどいない。
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 「見てみろ、枝が必ず三つに分かれてるだろ。だから『三椏(みつまた)』って言うんだ。皮は和紙の原料にするらしいけど、こんな一株じゃどうにもならないだろうな」
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 一株といえば、ボクが本当に好きなのは、並木じゃなくて、1本だけ凛として立ってる桜。