月組 バウホール公演『Golden Dead Schiele』のライブ配信を観ました。
私は絵画には疎いので、エゴン・シーレについてWikipediaで予習。ネットなので全て合っているのかわかりませんが、なかなか詳しく書いてあり難しい人だなぁと思いました。
で、観劇。
やはり、難しかったです。
難しいというのは、エゴンの性格。
自分中心に物事を捉える人なのかな。
自分の世界に入る人だからこそ人の心に染みる絵を描けるのでしょうか。
彩海せらさんは、エゴン・シーレの心情を丁寧に演じていました。誰もが「そうだよね」と言える行動ではないのですが、そのなんとも言えないもどかしさのようなものをこちらに伝えてきます。
エゴンが助けてほしかったときに助けてくれなかった(実際は「助けられなかった」)アルトゥール・レスラー(英かおと)に八つ当たりしたのにはなんて人だ!となりました。
グスタフ・クリムト(夢奈瑠音)から子供をモデルにするな。と言われていたことを無視したことを反省していないのか?
自分が助けてほしい時に助けてくれるのが支援者であり、自分のことをわかってくれるのが恋人と一種の甘えか。
それは、自分のことをわかってもらえなかった両親への思いの裏返しなのかな。
牢獄に自分の愛用しているペンと紙と同じものを差し入れてくれるヴァリ・ノイツェル(白河りり)とペンと紙なら何でも同じでしょと言い放つエディト・ハルムス(花妃舞音)の対比がわかり易い。
愛は与えるものでなく与えられるものなのか。
彩海さん、この役、演じているのは精神的にもきつかったのでは?
フィナーレをつけてくれて本当に良かったです。
ヴァリ・ノイツェルの白河りりさんは、やはり歌が良いですね。緊張していたのでしょうか、表情がもう少し柔らかくなると良いな。
特に印象深かったのが、グスタフ・クリムトの夢奈瑠音さん。
姿勢や歩き方、話し方等エゴンと2回り以上歳上ということが伝わる芝居でした。
そして、死の幻影の彩音星凪さんが凄かった。ダンスで表現する役が多いのですが、今回はいつもの彩音さんではない!
「死と乙女」に描かれている死そのものなのです。
表情や足音のない佇まい、一つ一つの動きが凄い。
生で観たかったです。