思春期のお子さんと向き合い、出口の見えないトンネルの中にいるような不安を感じているお母様方を支える皆さまへ
お母さんのせいではなく脳の成長痛であるということ
子どもが急に冷たくなったり、激しい言葉をぶつけてきたりすると、多くのお母様は「自分の育て方が悪かったのではないか」とご自身を責めてしまわれます。しかし、どうか知っておいてください。
その原因は…
思春期に見られる不可解な言動のほとんどは、親の接し方や本人の性格の問題ではなく、脳が大人へと進化するために避けては通れない「再構築のプロセス」によるものだったのです。
お子さんの脳内ではいま、自立した一人の人間として生きていくための劇的な工事が行われており、その混乱が感情の嵐となって表れている状態なのです。
ブレーキが未完成なまま走り出している状態
なぜ、あんなに聞き分けの良かった子が、理屈の通じない行動をとってしまうの?
それは、脳の成長する順番に理由があります。感情をコントロールしたり、冷静に先を見通したりする役割を担う前頭前野という部分は、脳の中で最後に完成する場所であり、25歳くらいまで未熟なままだと言われています。
一方で、感情を司る部分は思春期のホルモンの影響で一足先にフル回転を始めます。
つまり、アクセルは全開なのにブレーキがまだ装備されていない、非常に心細く不安定な乗り物を必死に運転している状態と同じです。
激しい言葉の裏にある自立への願い
具体的な場面を想像してみてください。例えば、進路の話を持ちかけた途端に「放っておいてよ!」と怒鳴り、会話を拒絶するお子さんの姿です。
お母様としては良かれと思ってかけた言葉が拒絶されるのは、身を切られるほど辛いことだと思います。
しかし、この「放っておいて」という言葉は、脳内でドーパミンが放出され、自分の力で考えて行動したいという本能的な自立心の表れでもあります。
自分と親との間に境界線を引き、自分自身のものさしを作ろうとしている、とても健全な成長の証なのです。激しい言葉は、お母さんに甘え、自分を確立しようとする信頼の裏返しでもあります。
管理する手を手放し信じて見守るコーチへ
これまでお子さんの安全を守るために、一生懸命に人生のマネージャーを務めてこられたお母様にとって、今の状況は手出しができないもどかしさの連続かもしれません。
しかし、脳がこれほどまでに葛藤し、変化しているのは、お子さんが自分の足で歩き出す準備を整えているからです。
大人の役割は、先回りして失敗を防ぐ管理者から、お子さんの自律性を信じて必要な時だけ手を貸すコーチのような存在へと、ゆっくりシフトしていく時期に来ています。
お母様ご自身が「これは脳の成長痛なんだ」と少しだけ客観的に捉えられるようになると、お子さんを見る眼差しに優しさと余裕が戻り、それがお子さんの安心感へとつながっていきます。
お母様が少しでも肩の力を抜いてお子さんと向き合えるよう、具体的な「見守り方のヒント」を一緒に整理してみませんか。