”スーパー・スティナ”と呼ばれるデンマークのパラ馬場馬術のグレード2の選手です。このスティナさんのすごいのは、通常ですと彼女のような障害ですと鞍に体を保定するところ、彼女はしていないことです。彼女は、WEG2018トライオンで個人戦とフリースタイルの両方で金メダル!




日本ではホースセラピーという言葉の方が認知度があり、ふれあいをメインにした心理療法的なものや、ヒポセラピー(乗馬療法)、セラピュティック・ライディング(治療的乗馬)との区別がつきにくいです。

また『障がい者乗馬』という言葉は更に、ヒポセラピーとセラピュティック・ライディングとパラ馬術の3つが混在しているような気がします。


ヒポセラピーは馬を介したリハビリ医療・運動療法で、欧米では医師の処方箋が必要ですし、ヨーロッパでは健康保険適用だと言います。専門インストラクターの他に理学療法士、作業療法士、言語療法士、臨床心理士などがチームで対応します。馬は、乗り手ではなくインストラクターの指示にしか従いません。馬を自分で動かすこととは別物です。馬もプロのセラピストです。


セラピュティック・ライディングはヒポセラピーを卒業、またはヒポセラピーの必要はないが、乗馬運動を通してさらなる治療効果を得ようとする、何らかの障がいを持った人のためのスポーツです。乗り手が自分の意思で馬を動かしていきます。障がいの程度によりヒポセラピー同様に馬の両側からサポートするサイドウォーカーがつきます。

これらとは別に馬に乗らず、地上戦のみの馬を介した心理療法も存在します。放牧場から馬を連れてくる、お手入れをする、といった作業を通して自分と向き合うことを学ぶものです。馬の反応が、扱う人の問題点や成長プロセスを映し出すのです。ここでも馬はプロのセラピストであり、人に媚びることをしないので容赦なく無視、拒絶をします。私は数回、受けたことがありますが挫折しました。乗馬でNGな事も許されるので、乗馬経験が仇になったとも言えるとおもます。おやつで釣る、も作戦の一部!!やってはいけないと思い込んでいました。(結果、このセラピーホースではなく、普段のレッスンで乗っていた難しい馬が私を救いました。)


パラ馬術は、セラピュティック・ライディングの先にある純粋な競技スポーツです。サイドウォーカーはつきません。パラ馬術には馬場馬術の他に、障害飛越、馬車、レイニング(ウエスタン)があり、そのうちFEI(国際馬術連盟)が公認するのは馬場馬術と馬車です。唯一、パラ馬場馬術だけがパラリンピックと国際馬術選手権に含まれています。


こちらは国際馬術選手権2018トライオンからの動画です。

1番目がグレード4、2番目がグレード2、3番目がグレード5のゴールドメダリストです。数字が若いほど障がいが重度です。




個人的には、乗馬をしている人にこそ、パラ馬術を見て欲しいと思います。特に、指導する立場にいる方たちに知って頂きたいです。