無汗症の馬は体内に蓄積される熱を逃がせないことから熱中症のリスクがとても高いです。発汗という機能を本来持つ動物は、浅く速い呼吸で喘ぐだけでは充分には熱は逃がせません。そして発汗したとしても、それを蒸発させられない限り、体内に蓄積される熱は簡単に危険レベルまで上昇してしまいます。
完全に発汗できない馬が最大の健康リスクに直面する一方で、軽症の馬においても夏期の運動においてはそのパフォーマンスに打撃を与えることはあり得ます。

無汗症の発症の原因は未だ解明されておりません。血流に乗って循環するエピネフリン(アドレナリン)が汗腺で滞ってしまうことへの反応だと考えられているようですが、どのようにしてそれが起こるのかはわかっていません。無汗症は温暖な気候で最も多く発症するとされますが、単に温度と湿度の問題ではなさそうです。
無汗症の傾向を持つ馬は、涼しかったり寒かったりする環境下では滅多に症状を出しません。症状が出るには、一定期間を蒸し暑い中で過ごすことが条件となるのですが、その期間というのがどれだけの長さなのかはわかっていないのです。つまり、ただ単純に蒸し暑いからなるというのでなく、どれだけ蒸し暑い中にいたかで状況は変わるのですが、その手掛かりがありません。考えられているのは、このような過酷な環境下で汗腺が刺激を受け過ぎて、血中のエピネフリンの絶え間ない攻撃に体温調節機能が停止するというものです。
気候との関連性は、2010年にフロリダ大学がフロリダ州で500の牧場、おおむね5000頭の馬を対象に行った調査で明らかにされています。この調査によれば、全体として11%以上の馬が無汗症であったが、より暑い南フロリダの牧場ではより涼しい北の牧場に比較して、少なくとも1頭の罹患馬がいる確率が5倍にのぼるとされています
ただし、これは蒸し暑い地方限定ということではなく涼しい地方の馬にも発症していることがわかっており、蒸し暑さがトリガーになると言えるだろうとのことです。日本の夏は、完全にトリガーになってしまうでしょうね。

どの馬にも発症しえる無汗症なのですが、品種によってより多く発症するようだと言われています。発症率の高い品種はサラブレッドとウォームブレッド、クォーターホースなどで、フロリダ大学のリサーチではアラビアンでは1頭も無汗症の馬がいなかったと同大学獣医学部のマッケイ博士が述べています。無汗症は遺伝性であるとも考えられており、2018年現在の同大学の研究によると76%は遺伝によるものだとされています。例えば無汗症の馬を涼しい地方で繁殖のために飼育しているとして、その馬に症状は現れません。子馬たちが蒸し暑い地方へ送られ、揃って発症し、初めて母馬にその体質のあることがわかったりするわけです。
また馬の体型によっても変わってくるとのことで、一般に細く小さな馬体は少ない汗で対処できるのに対し、筋肉質の大きな馬は発汗を多くしないと熱を逃すことができません。ですので、クォーターホースは重症ケースになりがちということです。毛色の関係もあるようで、濃い色の馬はよりリスクがあるようだと言われています。無汗症のエンデュランス競技をする馬を診たことのあるテキサス州の獣医師は、アラビアンでは見たことがなく、ほとんどがクォーターホースで、そこに少数のフリージアンという状況と述べているそうです。

また、無汗症には急性と慢性があります。急性の場合、或る日突然、症状が出たと思ったら1夏か2夏で突然、寛解することも珍しくはありません。急に発汗することがなくなったと思ったら1ヶ月ほどして急に発汗するようになったりするのです。急性の場合、飼い主が環境を整える対応策をとる限りは生涯にわたって苦しむことはありません。
もしも無汗症が3夏め、4夏めで再び出てくるならば、それは慢性と考えられています。慢性になると汗腺の構造が変化するとのこと。そのため一旦、慢性に転じると正常に戻ることは難しいとされます。慢性と言っても、症状は季節的なもので、夏場に多く発症し、冬場は楽であることが多いようです。
健康で運動量の多い馬は、夏の最も暑い盛りでも運動して汗をそれほどかかないというのは正常です。そのため、無汗症の兆候というのは、簡単に見逃されてしまうという問題があります。早い段階でその兆候を捉えることは重要なので、観察眼と知識を持つことが鍵と言えます。
次回は、無汗症を疑う兆候について見ていきます。
完全に発汗できない馬が最大の健康リスクに直面する一方で、軽症の馬においても夏期の運動においてはそのパフォーマンスに打撃を与えることはあり得ます。

無汗症の発症の原因は未だ解明されておりません。血流に乗って循環するエピネフリン(アドレナリン)が汗腺で滞ってしまうことへの反応だと考えられているようですが、どのようにしてそれが起こるのかはわかっていません。無汗症は温暖な気候で最も多く発症するとされますが、単に温度と湿度の問題ではなさそうです。
無汗症の傾向を持つ馬は、涼しかったり寒かったりする環境下では滅多に症状を出しません。症状が出るには、一定期間を蒸し暑い中で過ごすことが条件となるのですが、その期間というのがどれだけの長さなのかはわかっていないのです。つまり、ただ単純に蒸し暑いからなるというのでなく、どれだけ蒸し暑い中にいたかで状況は変わるのですが、その手掛かりがありません。考えられているのは、このような過酷な環境下で汗腺が刺激を受け過ぎて、血中のエピネフリンの絶え間ない攻撃に体温調節機能が停止するというものです。
気候との関連性は、2010年にフロリダ大学がフロリダ州で500の牧場、おおむね5000頭の馬を対象に行った調査で明らかにされています。この調査によれば、全体として11%以上の馬が無汗症であったが、より暑い南フロリダの牧場ではより涼しい北の牧場に比較して、少なくとも1頭の罹患馬がいる確率が5倍にのぼるとされています
ただし、これは蒸し暑い地方限定ということではなく涼しい地方の馬にも発症していることがわかっており、蒸し暑さがトリガーになると言えるだろうとのことです。日本の夏は、完全にトリガーになってしまうでしょうね。
どの馬にも発症しえる無汗症なのですが、品種によってより多く発症するようだと言われています。発症率の高い品種はサラブレッドとウォームブレッド、クォーターホースなどで、フロリダ大学のリサーチではアラビアンでは1頭も無汗症の馬がいなかったと同大学獣医学部のマッケイ博士が述べています。無汗症は遺伝性であるとも考えられており、2018年現在の同大学の研究によると76%は遺伝によるものだとされています。例えば無汗症の馬を涼しい地方で繁殖のために飼育しているとして、その馬に症状は現れません。子馬たちが蒸し暑い地方へ送られ、揃って発症し、初めて母馬にその体質のあることがわかったりするわけです。
また馬の体型によっても変わってくるとのことで、一般に細く小さな馬体は少ない汗で対処できるのに対し、筋肉質の大きな馬は発汗を多くしないと熱を逃すことができません。ですので、クォーターホースは重症ケースになりがちということです。毛色の関係もあるようで、濃い色の馬はよりリスクがあるようだと言われています。無汗症のエンデュランス競技をする馬を診たことのあるテキサス州の獣医師は、アラビアンでは見たことがなく、ほとんどがクォーターホースで、そこに少数のフリージアンという状況と述べているそうです。

また、無汗症には急性と慢性があります。急性の場合、或る日突然、症状が出たと思ったら1夏か2夏で突然、寛解することも珍しくはありません。急に発汗することがなくなったと思ったら1ヶ月ほどして急に発汗するようになったりするのです。急性の場合、飼い主が環境を整える対応策をとる限りは生涯にわたって苦しむことはありません。
もしも無汗症が3夏め、4夏めで再び出てくるならば、それは慢性と考えられています。慢性になると汗腺の構造が変化するとのこと。そのため一旦、慢性に転じると正常に戻ることは難しいとされます。慢性と言っても、症状は季節的なもので、夏場に多く発症し、冬場は楽であることが多いようです。
健康で運動量の多い馬は、夏の最も暑い盛りでも運動して汗をそれほどかかないというのは正常です。そのため、無汗症の兆候というのは、簡単に見逃されてしまうという問題があります。早い段階でその兆候を捉えることは重要なので、観察眼と知識を持つことが鍵と言えます。
次回は、無汗症を疑う兆候について見ていきます。