注)これは、単純に読み物として捉えて下さいね。例によって私の『へぇ~目』ですので


無汗症の馬の健康管理に、毎朝の朝飼いにビールを与える方法があることに触れましたビール ビールは栄養サプリメントとして使われているようです。ビールにも色々と種類がありますが、人間にとっても栄養価の高いものがあります。

アイルランドは競馬が盛んでサラブレッドの生産も世界のトップクラスにおりますが、「あちらでは優勝馬にギネスをふるまう週間があると私のアイルランド人調教師が言ってたけど、それって大丈夫なの?馬は酔っぱらったりしないの?大丈夫ならどうやって私の馬に与えたらいいの?穀類の量を減らした方がいいですか?」という質問が、たまたま米国の乗馬雑誌プラクティカル・ホースマンの5月号(今年の)に寄せられていました(無汗症の記事は8月号に載せられたものです)。

この質問に獣医であり馬の栄養士である人が答えていた内容は、とてもおもしろかったです。まず、馬はそう簡単には酔っぱらわない動物だそうです。ただし、ビールに関して言えば、種類によりますけど一般的にはアメリカのは日本のよりアルコール分が低いので、あくまでもアメリカでの話として考えて下さい。自馬のオーナーさんは、必ず日本の獣医さんに確認してくださいね。



まず、ほとんどの馬はビールの味が好きだそうです。原材料が大麦やホップなど、ふだん馬が食べる穀類と同じであるからではないかと考えられているそうです。馬の肝臓は、急速にアルコールを処理できるそうで、馬は大量のアルコールを脱水素酵素というものに変えることができるそうです。これは発酵物質を分解する酵素で、彼らは大腸における消化プロセスで普通に使っているそうです。この酵素により馬は素早くアルコールを炭水化物に変えてエネルギーにすることができます。

350mlの缶ビールのエネルギーは少ないもので55カロリー、多いもので250カロリーと様々です。回答者の配偶者の馬は160カロリーのSamuel Adams Lagerが好きだそうで、いちど与えてみたクアーズのライトは気に入らず、ペっと吐き出してしまったとか(笑) 標準的な1200ポンド(約600キロ)の馬は単純に言えば(労働としての運動を含まない)1日に17,000カロリーを要するとのことです。そして飼料の穀類のブレンド1ポンド(500g弱)は少なくとも2000以上ある。ビールの含むカロリーなんて知れてるので、ビールを与えるからと言って食事量を減らす必要性はないということのようです。馬は簡単にそれくらいの余分なエネルギーは燃焼させることが出来るというのが理由。1本のビールに含まれる炭水化物と水分の量は馬のニーズにしてみたら取るに足らないものだということになる。でも、ビールはミネラル、ナイアシン、ビタミンB群、ヒラボノイドなどをいくらか提供でき、それらは全て馬が必要とする栄養素なのです。そういった意味ではビールには僅かではあるが馬にとって栄養価のある食品ということになります。


またビールを水に混ぜると、特に脱水症が心配される場合(輸送中は特に)はベネフィットがあると言います。もしその馬がビールの味が好きなら、少し飲み水に加えてやると水を飲ませるきっかけになるかもしれないと言います。水を用意しても、飲んでくれないなら意味がありません。でも『ビールの味がするから飲む』ということがあり得るということね( ´艸`) *この水を用意しても飲んでくれない、馬に「飲め」といって飲ませることは不可能という事実についての対処法は別の記事にもあったので、それは日本に帰ってから記事にします。


なお、ビールは馬のドラッグテストにリストされてない、ポジティブではない、つまり引っかかることはないと回答者は言っているものの、競技に出る場合は、必ず事前に確認をとることをすすめています。また、問題ないことが確認できたにしても、競技場で馬にビールを与えてる姿を他の選手が目撃した場合に苦情の対象になりうることは覚悟しておきましょうとも言ってます。つまり、パフォーマンスに影響がないのが確かであっても「あの馬はビールでハイになってるから入賞した」とかなんとか言われる可能性があるということですよね。

最後に、安全な与え方についてですが、必ずバケツに移して与えること。他にはこれといって危険要素はないらしいですが、僅かといえども余分なカロリーを与えることにはかわりなく、肥満傾向の馬には定期的に与えるべきではないとコメントされています。ただし、数回程度(輸送中の脱水症対策や特別のご褒美とか)なら問題はないですよとのことでした。