たゆたううた -15ページ目

ただ夕日が美しかったから

本当は
黒猫が横切ったことが不幸なのではないことも知っています

星廻りが悪くても
世界が終わるわけではないことも知っています

靴ひもが切れてつまずいても
全てを憎む必要はないことも

黒い服を着ていたことが
つまずいた理由ではないことも


笑えないのはそんなことが原因ではないことは
ちゃんとわかっているのです


だから
今だけ許して頂戴


ただ泣きたい気分なのです
理由は
ただそれだけなのです

本日は追い風

風はあっちに吹いていた
飛びにくいのは
違う方を向いているからだった

鳥は向こうで鳴いていた
鳥だと思ったら鈴の音だった

毬は遠くにとんでった
追いかけてったら海に出た

船が岬を出ていった
鼠が一匹のりこんだ

大きな波が押し寄せた
寄せては返しうねりは嵐へ
嵐は船を嘲るように
船は嵐に戸惑うように



凪の朝

本日は追い風

風を受けて進め

どこまでも遠く


鳥は向こうで鳴いていた
歓喜の朝に包まれて

地平線の端まで届け

黄金の太陽を迎え入れるべく
そっと その帳を揺らすべく


持てる全ての力と
ほんの少しの奇跡を信じて 私は
群青色の天蓋に手を伸ばす


12756キロメートルの空が
明るくまぶしく反射するとき
大きく手を振るために