東京都議会議員選挙が投開票され1日が経過しようとしている。127議席を1997年以降で最多である295人の候補者で争う選挙戦となった。以下では、簡単ではあるが、今回の選挙結果を振り返りたい。


 まず、「知事与党」と呼ばれる、自由民主党、都民ファーストの会、公明党で過半数を上回る議席を獲得した。ゆえに、小池都政が一定程度、支持されている、信任されていることになろう。


 都ファが前回と同じ31議席を獲得し、第一党奪還した。これは、同党の代表顧問を務める小池知事の精力的な選挙活動への参画に起因していよう。小池都政への強烈な後押しとなるだろう。


 自民党は21議席で、過去最低の議席獲得数となった。前回選挙にて獲得議席が33議席であったため、大幅な減少であり、支持の低下が著しい。各地で現職候補者が落選した。


 公明党は1993年選挙以から「候補者全員当選」を8回連続で果たしてきた。しかしながら、今回選挙では、大田区で2人、新宿区で1人が落選した。故に連続全員当選がストップした。


 都議会に議席が無かった、国民民主党は9議席を獲得した。「現実的な目標」としていた、単独会派を構成できる5議席を上回る結果であった。ワンイシュが東京でも浸透している。


 参政党は4人を擁立し、3議席獲得した。当選率は75%であり他の政党を圧倒した。2020年の結党以来、SNS戦略が抜群に上手く安定的に結果を出してきたといえる。


 東京生活者ネットワークは1977年に結成された地域政党である。前回と同様に1議席を獲得した。老舗の強さを見せつけた。また無所属にも同党に推薦された候補者が複数人いる。


 日本保守党は議席を獲得できなかった。おそらく、その政党基盤の弱さや、SNSを中心とした「浮遊層」の支持が分散したのではないか。尤も候補者も1人と政党基盤の弱さを感じる。


 日本維新の会は、保有していた1議席を守れず、獲得議席数はゼロ。関西圏での支持は高いものの、まだまだ関東圏では苦戦している。党内イデオロギー分散や制作の不一致も影響しているだろう。


 れいわ新選組は3人の候補者を擁立したが獲得議席はゼロであった。どちらかといえば、参議院選挙に本腰を入れている感じがした。とはいえ、確実に支持と勢力を拡大している党の一つだ。


 都議会最大野党であったの日本共産党は19議席から14議席と減らした。しかしながら、最も老舗の政党として、一定以上の支持がある。加えて、推薦した候補者にも焦点を当てる必要がある。


 都議会最大野党となった立憲民主党は15議席から17議席に増やした。日本共産党と同様に、推薦した候補者がいるため、より詳細な分析が求められよう。一定の躍進といえる。


 投票率は47.59%であり、前回よりも+5.2pointとなった。とはいえ、全体としての結果よりも、それぞれの選挙区ごとに違った現状があり、よりミクロな分析が求められる。少しだけ述べれば、千代田区や世田谷区、青梅市などはより深く議論したい。他日に期す。


 最後に、今回の選挙結果をまとめると、(1)小池知事の一人勝ち、(2)自民党の歴史的惨敗、(3)国民民主党、参政党の活躍の3点を挙げることができよう。以下では、この3点について若干述べたい。


(1)小池知事の一人勝ち


 「知事与党」とされる自民党、都ファ、公明党で過半数以上を獲得したことは先に述べた通りである。また、小池知事と比較的近い関係にある国民民主党も議席を獲得した。それらを「小池都政推進勢力」とするならば、80議席となり63%の占有率だ。


 もちろん小池知事に対して各党、会派は「是々非々」の姿勢を示すだろう。しかしながら、それは形式的なものであり、実際には安定的な議会運営、行政運営に期すため、小池都政を支持し、推進していくだろう。まさに小池知事の一人勝ちだ。


(2)自民党の歴史的惨敗


 参議院議員選挙の「前哨戦」とされた今回の選挙において、自民党が過去最低の議席獲得数となったのは、まさに「歴史的惨敗」と言わざるを得ない。尤も、都議会自民党における不記載問題は、少なくない影響を及ぼした。


 不記載問題に対する批判は、物価高や米価高騰による生活苦が叫ばれれば、叫ばれるほど拡大するだろう。実際に、自民党所属の現職議員や幹事長経験者らが相次いで落選した。この結果は参議院議員選挙に大きな影響を与えるだろう。


 参議院議員選挙は立候補する者や政党の多様性が大きく、票の分散が予想される。参政党や国民民主党、れいわ新選組などの躍進が予想され、自民党にとって確かに厳しい選挙になる。一方で、本格的に政権が揺らぐのは、むしろ3年後の改選時だろう。


(3)国民民主党、参政党の活躍


 国民民主党と参政党は新たに、それぞれ9議席、3議席を獲得した。今回の選挙での「結果」は「結果」である。一喜一憂することなく、都議会においての「実績」が求められる。加えて、政党が成長すればするほど、そのガバナンスが求められよう。


 国民民主党の支持率低下の要因と指摘できる「地方における所属議員の問題」は看過できない。参政党も「事実」ベースで議論をする必要がある。両党とも単なる「ポピュリズム政党」に成り下がらないことを切に願っている。


 以上、東京都議会議員選挙の結果を受けての私の感想である。当選された皆様には、日本の中心地である東京から世界に誇る日本を創造していただきたい。そして、選挙に果敢に挑まれた皆様に、心よりの敬意と尊敬の念を抱く次第である。



 書くかどうか迷ったが、「再生の道」ないし、石丸氏に対して、厳しい意見を述べざるを得ない。そもそも、彼が登場して以来、メディアやSNSは彼を礼賛してきた。まるで現代政治に風穴を開けるヒーローのように。


 しかしながら、何度か言及しているが、当初より彼には懐疑的であった。議会や議員を「仮想敵」に見立て攻撃していく姿勢は、ポピュリズムの成道手段であり看過できない。「政治屋の一掃」ではなく、「政治屋の生産」だ。


 自民党と同数の42人を擁立も獲得議席はゼロ。その後のNHKでの会見において「都議選に擁立するのが目標」という趣旨の発言をした。確かに、都議会議員選挙の場で、「二元代表制の適正化」を議論の俎上に載せることは重要である。


 しかしながら、「当選を目的にしない選挙への擁立ないし出馬」は、同党から出馬した候補者に投票をした有権者に対する冒涜である。政治の劣化を招く行為であり、看過できない。加えて、政治、選挙の私物化は許されない。


 最後に、選挙に出馬することは、タダではない。これは金銭的な文脈だけで話しているのではない。候補者の家族は?親戚は?支持者は?友人は?多くの人を巻き込んでいることを決して忘れてはいけない。タダではない。