続いてますがどこで終わればいいのでしょう。。。。

途中から読んでも(最初からだけれど。笑)ワケ分かんないと思いますので、途中からの方は見なかったことに。。。

続けて読んでくださっている方も3行飛ばしくらいが丁度良いかと思われます。苦笑





自分からママと距離を置いたくせに勝手に気まずくなってしまった私。

ママに取り入っている女のコもなんだかイヤな感じ。


しばらくはバイトに行っても憂鬱で仕方なかった。



でもある時、店はヒマでバイトは私だけ、お客さんはカウンターに昔なじみの常連客が一人、という日があった。


゛マミーは最近見るたびにブスになっていくなぁ・・・。”


営業スマイルはお手のもの。

落ち込んでいても仕事では笑っているつもりだった、けれど常連の彼には日々鬱々としていく私の表情が読み取れたのか、そんな事をポツリと言った。前に店の内情を教えてくれた人だ。


゛ヒドイー!もぉぉお!お世辞の一つも言えないお客さんは帰ってくださ~い!”


彼の言いたい事は分かっていたけれど、私は冗談めかしてそんな風に返した。


そこへママが来て私の後頭部をポカッと叩いた。


゛まったくこの娘は何年たっても変わらないのよ。客に向って帰れなんていうバイトはこの娘くらいのものよ!”

あきれたように甲高い声でそう言ったママ。でも顔は笑っていて。


その声にマスターもめずらしくカウンターの方へ出てきた。


゛だってこの娘は唯一この俺に『クソジジィ』って言ったとんでもない娘だよ?”


3人は私がいるのに、私の話で盛り上がっていた。


口の悪さは天下一品だとか、全然稼ぐ気がないとか言いたい放題。


゛この子はね、ありがとうございました~、って言わないんだよ。”

おもむろにマスターが言った。


 え?言ってるよぅ・・・。


゛ありがとうございま~す、って言うんだよ。俺、初めて聞いたときイイナ~って思ってさ。終わりじゃない、って感じがするだろ?
口は悪いし態度はデカイけど、時々こういうトコで人の気を惹くんだよな。”


 へぇ・・・。


自分でも気付かなかったけれど、そういうトコを見てくれているのは嬉しかった。


゛そういえば、いらっしゃいませの前に゛こんばんは~”ってマヌケな笑顔で言うんだよなぁ”常連客が笑いながら言った。そして機嫌がいいのか、マミー今日は何か好きな物作って飲みなよ、と。


私がママの顔を見ると゛頂きなさい”と言って私のためにグラスを取った。


この店では例えバイトの子でも自分の飲み物を自分で作るなんて惨めな事はさせなかった。

ママに言って好きな物を作ってもらうのだ。


しかしママは私には何も聞かず勝手にジンを手にした。


底に大きなカッティングのはいったオンザロックスのグラスに小さめの氷を入れて、ライムを半分に切る。


ツーショット分のジンを氷の入ったグラスに入れると切ったライムでガラスの縁をクルリとなぞる。

そのライムを両手でギュゥっと一度だけしぼる。贅沢なライムの使い方。


それは、何年も前に私が客として通っていた頃、必ず頼んでいたもの。



ママは他人のこういうところをよく覚えている。



 こんなことも覚えていてくれたんだ・・。



ママと心が離れてしまったように感じていた私は嬉しくて、まだお酒を口にしていないのにこみ上げてくる感情で喉の奥が熱くなった。



気の置けない常連客とママとマスターと。

大好きな、ライムの入ったジン。

ここの所落ちこんでいたせいか、いつも流れているのに耳に入ってこなかったジャズ・ピアノの調べ、それらがゆったりと私を満たしてくれた。



昔に戻ったみたいで、この時私はすごく幸せだった。