音列技法の巨匠としてセリー主義によって戦後広く称揚されたウェーベルン。しかし、その名声とは裏腹に約100年を経た現在も音楽の美しさは未だに広く知られているとは言えません。
ウェーベルンの音楽を聴く時、彼の音楽性と極めて響き合う感性を挙げるとすれば、それはシューベルトではないかと思うことがあります。
シューベルトの音楽にはロマン主義的な情熱が挫折した後、社会に疎外されながら再び自然に巡り合いさすらうような情感があると思いますが、ウェーベルンの音楽にも人里離れた静けさの中で大自然の神秘に心を揺り動かされるような、そんな音楽的な感動が込められていると思います。
音楽史の限りない豊かさをその万華鏡的な微細な世界に閉じ込めつつ、孤高の静けさの中で彼が見つめていたもの。それはワーグナー的なロマン主義の情熱が見ていたものとは何か異なるもの。自然や宇宙の偉大さであったような気がしてなりません。
師のシェーンベルクの影響に従いながら突入する官能的な無調世界においても、決して彼の音楽は師の模倣に過ぎないものではなく、より自らの内面を深く掘り下げていることがわかります♪
そして、簡素な響きの12音時代。ひっそりと息をひそめた神秘性。彼の宗教性は決して叫ぶことなく、ほとばしる情熱も決して大衆の心を扇動したりはしません。
時代の目まぐるしい変動や暴力が際立つ時代だからこそ、このような静謐な音楽が生まれたのでしょうか。
筆者も最も愛してやまない音楽のひとつ。
年末はシューベルトと共に改めてウェーベルンを聴き直してみたいと思います♪
Webern: Lieder/Newton Classics
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Complete Webern/Deutsche Grammophon
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