昨日、「現代のバッハ演奏」というテーマに関連して鈴木雅明さんのカンタータチクルス完結及び≪ヨハネ受難曲≫公演をお知らせさせて頂きました。



 そこで、このテーマにも関連して今日はもう御一方、ピアニストでオルガにスト、チェンバロ奏者で指揮者の山田康弘さんをご紹介させて頂きたいと思います。




 山田さんは、ミュンヘン国立音楽大学にて国家演奏家資格を取得し、その後多方面にわたって演奏活動を重ねられてこられました。



アートと音楽~グレンのクラシック音楽航海日誌~




 そして、ピアノやオルガンだけではなく山田さんもチェンバロやクラヴィコードと言ったオリジナル楽器を演奏されますが、鈴木さんのそれとは全くアプローチを異にします。



 また、ご自身が音楽監督を務めるバッハ協会管弦楽団・合唱団のホームページによれば、



「東京藝術大学,桐朋学園大学出身者を中心に構成される。メンバーは,N響,東フィル他,在京オーケストラに所属する者が多い。古楽器は用いない。」



とあります。要するに、ご自身の音楽観に共鳴される方々によって独自の管弦楽団と合唱団を編成しつつ、モダン楽器によるバッハを中心とした教会音楽の演奏活動をされているのです!




 半世紀前では考えられない事ですが、バッハの宗教音楽というと今日ではもはや古楽器による演奏が主流。



響きの柔らかさや音色の豊かさという美点は捨てがたいもののともすれば軟弱になってしまう古楽器委ではなく、敢えて現代楽器を用いて独自のオーケストラを編成されるその精神性はかつてのバッハ演奏の申し子カール・リヒターの姿を髣髴させるものがあります。



 山田さんがそのようなチャレンジを続けられる最大の理由の一つに、バッハの本質であり西洋音楽の土台であるポリフォニーの持つ立体的で強靭な宗教的精神の表現があることは想像に難くありません。




 そこで、オルガンによる山田さんの演奏、山田さんの最も得意とするレパートリーの一つであるレーガーを聴いてみましょう♪








 そして、次はバッハの絶筆「未完のフーガ」☆





 

 これらの演奏からも容易に想像できるように、山田さんの演奏は(それがたとえオリジナル楽器による演奏であるとしても)すべて西洋音楽がその歴史において継承してきた偉大な精神性の伝統の表現に捧げられています。



つまり、それが脆弱なものであったり、気分的なものであったりすることはあってはならず、古楽器による解り易い解放感の表現よりもより深遠な世界の表現のために楽器選択がなされている、と考えられます。



 筆者も以前、山田さんの指揮によるバッハ管弦楽団の≪マタイ受難曲≫を拝聴させて頂きましたが、そのタクトから流れ出る音楽の荘厳さに非常に驚かされました。現代でこのような峻厳なバッハを聴けるとは思っていなかったからです。



 その山田さんが次にチャレンジされるのがバッハの使徒メンデルスゾーンの大作≪エリア≫。明るく天国的な表現が際立つ≪パウロ≫に比べてよりユダヤ的で激しい表現と彼らしい優美さの対比が光る名作です。




4月13日に川口リリアホールにて演奏されます!詳細はコチラ



(尚、山田さんの豊富なレパートリーとその芸術世界はディスコグラフィ―によっても知る事が出来案す。詳細はコチラ



筆者も久しぶりに山田康弘とバッハ協会管弦楽団・合唱団の豊かな精神の森に足を踏み入れてみようと思います♪



(写真はリハーサル風景♪ クリックすると全体が表示されます。)

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