今日もしっかり歩く歩く。
段々と足取りも軽く、筋肉痛にもならずに歩けるようになってた。
腰痛も比例してよくなってきている。
片道40分、途中で木陰で休憩。
井戸水が流れる木陰で顔をじゃばじゃば洗った。いつもすっぴんで日焼け止めくらいしかぬらないので、外でもお店でもばしゃばしゃ洗う。
顔を吹くと冷たくていい気持ち。水筒からお水を飲んで、かわりに冷たい井戸水を汲んだ。
ふと赤ちゃんの泣き声が聞こえて顔を上げると、ベビーカーの中で身をよじって泣き叫ぶ赤ちゃんと、困り果てた若いお母さんが公園内に降りてきた。
私たちしかいない小さな公園。ベンチが一つしかないので、横にずれて座ったら、そのお母さんが横に座った。
赤ちゃんが顔を真っ赤にして泣いている。目が合ったのであやすと、一瞬きょとんとした。その顔が可愛くて、思わず笑う。
「暑いですね」
お母さんが帽子をぬいで仰いだ。
「そうですね。赤ちゃん、大きな声で泣きますねえ」
「ええ、もう、暑いからかな?いやになるくらい。」
ベビーカーから抱き起こすと服が汗でぬれている。
ハンカチで顔を拭いて、膝の上にのせる。またふにゃふにゃ。懐かしい。
「よかったら、私だっこしてお茶飲ませようか?」
「え?いいんですか」
「うん、お母さんもここのお水飲んでみたら。冷たくて美味しいよ」
私が勧めるとびっくりしたように「え、お水飲めるんだ。知らなかった」と大きなバッグから哺乳瓶を出した。
「うん、さすがに赤ちゃんはだめだけど。よくみんなここにポリタンクもって汲みにくるよ」
お母さんが手ですくって飲む。咽喉仏が下がって、ごくごくのむ。きれいで、みとれてしまった。
赤ちゃんを受け取り、その重さに驚く。命の重さだ。ぐったり脱力していているが膝に乗せると柔らかく温かく、とてもいいにおいがした。赤ちゃんのにおいだ。思わずつぶやくとおかあさんが声を立てて笑った。
あかちゃんが哺乳瓶から麦茶をぎゅうぎゅう飲む。のどかわいてたんだね、よかったね。話しかけながら飲ませたら全部飲んでしまった。
「全部飲んじゃった」
哺乳瓶を渡すと、げっぷさせなきゃあ、というので反対に抱っこして背中をトントンした。背中の下のほうをなぜると静かになったので、そっと顔を覗くとうとうとしている。
その思いがけない可愛さに、こころがきゅうっとなった。
もう会えないんだなあ。あのとき、いつも泣いてばっかりの娘を抱いて途方にくれたのが嘘みたいだ。吸い付くようにぴったりくっつく柔らかい肌。ミルクと洗濯の匂い。ちいさな手はよく動いて私を探した。
「かわいいね」おかあさんのほうをみると、にこにこしている。
「ちいさくて大変だけど、今って宝物だよね。」
「たまに逃げ出したくなるけどね」
「みんなそうだよ~。でも、この子はあなたがいないと生きていけない。」
わたしがいうと、そうだね、本当にそうだよね。といい赤ちゃんを受け取った。
「いつもここ、くるの?」お母さんが聞く。
「今日はたまたま。水筒のお水きれちゃったから」私が水筒を見せると、「また会えたらいいな」というのでまた会えたら、だっこさせてね。と約束して別れた。
別れてから、とても温かいきもちでいっぱいなのがわかった。
母性ってすごい。そばにいるだけで一緒にぽわんと幸せになっていく。
あの満たされた赤ちゃんのように、わたしの周りも一杯の愛であふれていけたら。
お店についたら汗だくになったけど、こころはすごく爽やかで気持ちがよかった。
いいなあいいなあ。赤ちゃんっていいな。
家に帰ってからも幸せな気持ちが持続していて、娘たちが小さかったころのアルバムを開いて見入ってしまった。