しずくのひとりごと
神社とかお寺とかお墓参りとか、スピチュアルな場所が結構好きです。


お賽銭もって、いつも祈ること。


「神様、あのときのお願い、叶えてくれてありがとうございました」

っていうこと。


神様にお願いするときって、本当に心から願ったことじゃないと聞き届かれないと思う。

中途半端にお願いしたことって、絶対に叶わない。

そんなことぐらい、神様はちゃんと知ってる。


子供の頃、とても大きな神社に初詣に行った。

そのときにとても不思議な体験をした。


すごい行列、私は迷子にならないように母の手をぎゅっと握っている。

列が祭壇に近づくにつれ、お神酒をくばる巫女さんの側で、ふらふらしているおじさんがいた。

(酔っ払ってる、怖いなあ)

母の背に隠れるようにして、私はやっと握っていたお金を投げて、ようやく鈴を鳴らした。

「○○くんと仲良くなれますように、あともうちょっと成績があがりますように、すっごいいいことがありますように、あと、あと」

「ホラ、混んでいるからもういくよ」

母が私を引っ張って、お神酒をもらいにいった。


あ、あのおじさんがこっちをみている。


母がお神酒を飲んでいるとき、おじさんがそっと私によってきて

「おじょうちゃん、そんなにいっぺんには神様だって無理だな」と言った。


私はびっくりして、まじまじとおじさんの顔をみた。

「神様にはな、お願いごとをするひとがほとんどだがお礼を言いに来るヤツは滅多にいない。一昨年も去年も今年も、自分のお願いごとばっかでなあ」


不思議なことに、大声でしゃべるおじさんを迷惑そうによけるひとも、こっちを見る人もいない。

「私、もうお願いしちゃった」

小さな声で私が言うと、おじさんは笑って「もう一回並ぶがだかい?」


返事をしようとしたら、母がつよく手を引いた。


「お母さん、あの人神社のひと?」

母は不思議そうな顔をした。

「神社の人はホラ、ああいう着物みたいなのをみんな着てるでしょう。」


振り返っておじさんをみると、普通の黒いジャンバーに帽子を被って、お賽銭をしているひとを眺めていた。


他のひとにはみえないんだ。


私はにわかに怖くなって、「甘酒飲む?」と言って財布を取り出す母を引っ張って、足早に車に戻った。


今ふと思い出した。

私はあのときから、本当にお願いしたいことだけを頼むようにしている。

そして、そのお願いが叶ったら、ちゃんと会いに行ってお礼をいうように心がけている。


おじさんには、あれから二度と会えなかったけれど、私はあのとき神様に一番近い人に何かを教わったんだと思っている。