お待たせしました。
1983年 夏のコンサーㇳ
Moving Maniac
金髪のひろみさん満載のパンフレットです。
日常の中に潜む、安易さや怠惰を打ち破ってゆくパッション、情熱クリエイティブな怒りが、気迫を込めて、僕にせまってきた。 僕のとなりでレッスンを受けるひとりひとりが一歩でもはいあがろうとして、上を見つめている。 状況を脱することの出来ない、いらだちやあせり、自分自身への反省や疑問。 同じ苦しさの中で、チャレンジャーたちはそれでも夢を見ている。 僕が学んだものは、きっとすぐには結果に結びつかないことだろう。でも確かなことは、この5年間の中で、初めて本格的にやってこれた、少くとも、方法がわかって、一生懸命だったってこと。それだけは言える。
Week End
自分でアレンジした割には、ウィークデーがハードだったから、週末になるのが待 ち遠しかった。 アパートの近くにある、セントラルパーク。 ボートに乗ったり、昼寝をしたり、とにかくくつろげる。日中は暑くて、体がまっ黒にやけてしまった。 特に今年は例年に比べて暑いそうだ。
それと、メトロポリタン美術館には感激した。 昔、教科書かなにかに出ていた絵 、あれの本物があったから。 絵画、彫刻。 アーティフィシャルな刺激を受けると、ク リエイティブになる。 美しいものは、どの国にいても同じだ。 そんなわけで、 ウィー ク・エンドという言葉の持つ意味がよく理解できたし、確かに楽しいものだった。
都会の中で、ひとりになれる空間。 それがベッドルーム。 いつ行っても、 EAST 55丁目にある、この友人のアパートメントは清潔で居心地がいい。 おかげで、 物を考える時間をずいぶん持てたような気がする。
月曜日から金曜日までは、朝7時半から9時頃の間にこの部屋で目を覚ます。 オレンジジュースとチーズ。 朝食はそれだけ。 その日のレッスンに飛び出す。 1日が始まる。
ダンスのレッスン場までが歩いて30分。 1日1時間半ないし、2コース分の3 時間をとる。そこから15分歩くと、英会話スクールがある。 帰るまでに、ワン・ レッスン40分のコースで56レッスン受けた。 ボーカルを習いにハーレムまでタクシーで約30分。 夕方にアパートメントに帰って、それからブロード・ウェーへ。 映画やミュージカル
遊びも仕事も区別して、目一杯楽しみ、目一杯頑張る。 アメリカンスピリットに 少しは近づけたようだ。
そんな訳で、昼は歩きながらスタンドのホットドッグを食べる毎日だった。 ソーセージが胃の中で踊っていた。 これは 冗談じゃなく、本当の話。 それでもたまに、夕食をとりにレス トランへ行った。 スーパーで買い物をして、美谷さんや、ジョンという友人と交代で食事を作る。 皿洗い、後片づけ。 男だけの気ままな毎日。
洗濯もやった、掃除はもちろん手慣れたもの。 ニューヨーク にいる日本人の友人たちから、「ひろみはニューヨークが合ってるね」って言われてた。事実、1か月間、衣食住、どれをとっても何の苦もなく生活できるから、多分、僕のフィーリング にぴったりの空気なんだと思う。
"郷に入れば郷に従え"、ってことわざ、本当に僕のこと言い8当ててるんじゃないかな? これはジョークだけど、 そのくらい環境にはなじめた1か月間だった。
ハーレムでボーカルレッスンを終えて、タクシーで帰ってくる途中のことだった。運転手が「窓を閉めてくれ」って言うわけ。むこうのタクシーは、前の席と後部座席が防弾ガラスで仕切られているから、冷房が後ろまで届かない。 で、失礼な運転手だなって思ったと いきなり閉め切らない窓に水がパシャーとかかった。何かな、と思ったら、子供たちが消火栓から水を出して、通りかかる車めがけて放水している。 それで窓を閉めろって言 ってたわけ。これはニューヨークの遊びのひとつなんだって。
その遊び見てて思ったのは、日本だったら絶対にとがめられるし、やめさせられる。でも 小さい頃にそうやって伸び伸びと育ててあげることが、独創性につながってゆくんじゃな いかなって、ふと思った。クリエイティビティーにつながるんじゃないかって。
ファッション見たって、様々で個性的。 自分の好きなように楽しんでいる。 映画だって楽しみ方が違う。その中で才能持った人がどしどし出てくるとしたら、やっぱり土壌の違い、
社会が人間に何を与えてゆくか、の違いがあるってことじゃないだろうか? この辺の考え方、物事の判断。 日本人にはまだ不足している部分だと思った。
Good Bye. My New York
今まで5年間のアメリカ行きの中で、今回は成果があったとしたら、一番大きい。人数は少ないのに出会った人たちが、凄いレベルだった。ひとつだけ、はっきりわかったことは、「最終的に、どんな仕事でも、どんな事柄でも、勉強している方が、勝つ」ということ。目的意識を持ち、やり方を知っていて、必要な勉強をすること。 当り前だけど、必ず自分の身になってくる。ニューヨークでは、だれもが上を見て、はいあがろうとして、勉強し続けていた。 それは確かだ。
金髪ひろみさん
ニューヨーク感満載の、パンフレット
ニューヨーカー達に混じって、日々頑張るひろみさんの姿
今、海外を目指している若者達に、是非とも読んで欲しいと、思います。