彼には正義がある。

彼のなかの正義は
あまりにもくっきりとしていて

それでいて多くの人が願ってやまないことである。

多くの人が願ってやまないこと。

それはきっと

大きくて
広くて
命の内側にあって
空よりも透明なもの。

それはきっと

なによりも遠くて
だれよりも手に入れたくなるもの。


つまり彼のいう正義は

僕にとってあまりにも漠然としていて、
とてもこの世界にあるとは思えなくて、
そのくせ誰もが願ってやまなくて、

僕には信じることができないモノだった。

彼の言葉を借りるなら、

僕の21年間のありったけの正義に反しているのさ。


正義と正義をぶつけよう。

戦争をしよう。

お互いの正義を。


でもね、気付いた。

彼の正義を聞いた瞬間、感服の涙がとまらなかった。

彼も願ってやまない人だった。

彼は願いを口にする人だった。

正義を信じてやまない人だった。

愛を
平和を
醜さを
美しさを

正義を




今すぐ信じることはできなくとも

彼の正義に涙を流して、

自分自身に願いたくなった。


ありがとう。

美しい君へ。