「勉強しない子」の研究
学校の勉強を避ける子、徹底的に拒否する子、親の前だけ勉強しているふりをする子。私の肌感覚では、今の子供たちの8割ぐらいが、そうなんじゃないかなと思っています。私も全く勉強しなかった時期がありましたので、かつての自分と今の子供達を重ねて見ています。「勉強しない」と一言で言っても、その状況はいろいろです。学習の全てを拒絶するケースもありますし、学校に通っていても授業中に寝ているケースもあります。親が怒るから仕方なく勉強するが、親が見ていなければサボることもあるでしょう。塾に通っていても、とりあえず「先生に言われたからやる」「親に叱られるから勉強している」というように、言われたから仕方なくやるといった、表向きは勉強しているように見えるケースもあります。たとえ中学受験で念願の学校に入学したとしても、燃え尽き症候群で、やる気を失ってしまうこともあります。もちろん「勉強したくてたまらない」「勉強に興味がある」という子もいますが、それは少数派。兎にも角にも、学校の勉強は子供たちには不人気であることには間違なく、勉強が何の役に立つのだろうと思っている子も少なくないでしょう。大人でも、ホリエモンこと堀江貴文さんのように「学校の勉強はムダ」と考える人も一定数いると思います。ですが、私としては「全く必要ない」とは考えていません。なぜなら、世の中のことをよ〜く観察すると、どんな知識も無駄ではないと分かるからです。スティーブ・ジョブズはこう言っています。先を見ながら、点と点をつなぐことはできません。できるのは、あとから振り返って、それらがつながっていたと分かることだけです。だからこそ、あなたは信じなければなりません。その点は、いつか未来のどこかでつながるのだと。それは、自分の直感でも、運命でも、人生でも、カルマでも、何でもかまいません。そう信じることが、たとえ人の歩いた無難な道から外れることになっても、自分の心に従って進む勇気を与えてくれるからです。そして、それが大きな違いを生むのです。(原文)Of course, it was impossible to connect the dots looking forward when I was in college. But it was very, very clear looking backwards, ten years later. Again, you can’t connect the dots looking forward. You can only connect them looking backwards, so you have to trust that the dots will somehow connect in your future.You have to trust in something: your gut, destiny, life, karma, whatever. Because believing that the dots will connect down the road will give you the confidence to follow your heart, even when it leads you off the well-worn path. And that will make all the difference.ジョブズの言う「 点」 とは、その時その時の経験、選択、出会い、関心、回り道、一見無駄に見える出来事 まで含んだものです。私はジョブズのこの話は真理だと思っています。これを勉強すれば将来役立つ、あれは必要ないから勉強しなくていいという考え方は、実は浅い思考なんです。今、目の前にあることを一生懸命に取り組んでいれば、自ずと後で役に立つ。どんなふうに役立つかまでは分からないけれども、必ず役に立つ時が来るという思考が正しいのです。つまり、勉強しない子供たちは、この「今は何に役立つか分からないけど、目の前のことに集中して、とにかく一生懸命勉強することが大切」ということを理解できないから勉強しないのです。勉強がつまらない。勉強する意味がない。やる気が出ない。勉強しても何に役立つか分からない。・・・といった「勉強しない理由」は、単なる「後付けの言い訳」でしかないのです。要するに「めんどくさい」「やりたくない」といった単純な理由の裏返しに過ぎません。ですが、これを叱ったり、無理矢理勉強させたりしたところで、どうにかなるわけでもありません。かえって勉強嫌いが進んで、親子関係が崩れたり、親の考えとは真逆の方向に進む可能性も出てきてしまいます。それに、どんなに優れた教材を買っても、有名な塾に通わせても、優秀な家庭講師をつけたとしても、本当の理解に至ってないければ、勉強への取り組み方が甘くなるのです。では、ジョブズの話を何回も子供に聞かせてあげれば、子供は理解するかというと、そういうことでもありません。それは、子供一人一人の脳の発達が大きく関わっていて、特に勉強に影響を与えている「計画や行動の抑制」といった「自己制御能力」は、脳の前頭前野という部分と深く関わっていることがわかっています。それに一人一人の成長速度は全く異なりますし、当然、それに伴う脳の発達具合も異なりますし、伸びる時期・伸びない時期もまちまちですから、ジョブズの言葉を理解するのに時間がかかる子もいれば、すぐに理解できる子もいるのです。ですから、冒頭で述べたように、ほとんどの子供たちは、今目の前の勉強に集中する意味を知らないですから、ジョブズの言葉を理解させるためには、かなりの時間を要するわけです。(数年単位です)どうしても多くの親は、テストの得点や学校の成績表に目がいってしまって、40点が50点に上がったり、内申点が3から4に上がれば喜ぶし、また成績が下がれば叱ったり、落ち込んだりして、一喜一憂するのですが、本来はそれが勉強の根本ではなくて、ジョブズの言葉を理解させるための教育をしているかどうかが肝心なんです。言葉で教えることも大切ですが、親の言動で見本を示すことも大切ですし、世界の歴史にも、現代の大人たちにも、ジョブズの言葉を体現している例がたくさんありますから、それらをどう子供に伝えて理解させるか、その環境づくりが最も優先されるべきなのです。つまり、学校の勉強で良い成績を取ることが先ではなくて、もっと根本的な「人はどう生きるべきか」ということについて、子供に伝えていく必要があります。吉田松陰が死刑になる直前でさえも学びを辞めなかったこと、福沢諭吉が学問のすすめを書いたことなど、先人たちがその答えをすでに出していますが、どうでしょうか、お父さん・お母さんご自身は、ちゃんとそれを子供たちに伝える努力をしているでしょうか。目先の点数ばかり追いかけて、勉強しろと子供に圧力をかけたり、あるいは叱ったり、さらには不機嫌な態度を取って、子供をコントロールしようとしていません?もしそれをしているなら、「私は親として学んでいません」と子供の前で宣言しているようなものです。成長は人それぞれ。脳の発達も人それぞれ。理解の速さも人それぞれ。誰かと成績を競い合うことが先ではなくて、人は「知識をつけることでしか幸せになれない」ということをしっかり子供に伝える努力をしましょう。「昨日の自分よりも、今日の自分は成長しているだろうか?」この問いが大切。学びの度合いを比べるとするならば、それは他人ではなく、過去の自分と比べるだけなのです。