片恋。◆87 | copain (Ameba出張所)

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強火智担で根っからの腐女子のあややがひっそりまったりと某気象グループの長男×四男の【J禁P禁】を取り扱っている駄文サイトです。
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某気象グループの長男×四男の
J禁P禁を取り扱っている駄文サイトです。

◇18歳以下
◆J禁、P禁ってなに?
◇BLってなに?
◆ONは受け入れられない!
って方はご遠慮下さい。

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「……なぁ
 ……翔くんと俺
 ずっと"こんな"だったのか?」


うまく伝わるのかわからないけど、そうニノに尋ねた。

以前と翔くんが違う、と俺は感じていた。

けど実は前からこんな感じで
自分が盲目的に依存していたから気付かなかっただけなのか?

今回の依頼にしても、だ。
翔くんはともすれば内に籠りがちな俺と
その俺の作品を商業ベースに乗せることを最初に考えた人間だ。

なのに「大学の頃のような作品」とはどういうことなのか。

今回の仕事は、今までと方向性がまるで逆に思えた。


「オレ、本当言うと
 櫻井さんには感謝してるんです」


思いがけない言葉がニノの口から溢れる。


「なにを?」

「息が詰まるような半地下から、
 木漏れ日の下に大野さんを連れ出してくれたのは
 間違いなく櫻井さんだから」


そればかりはどれだけ自分が代わろうとしてもできない事だから、と。
付け足すように小さく呟いた。


「そうじゃなかったらオレ
 大野さんに会えてないし」


軽口のようなセリフだが、ニノの声には力が籠もっていた。

ニノの膝の上に頭を乗せたまま俺は何も答えずしばらくいた。

ニノの手は、優しく俺の頭を撫でた後、
俺の胸の上にそっと置かれた。


「おまえ、自分の仕事ちゃんとしろよ」


そう、ニノに告げる。
ニノは驚いたように目を瞠る。


「あのさ」


真剣に俺のことを見つめるニノの視線から逃げるように、
俺は瞼を閉じた。


「俺、
 翔くんに寄り掛かってたみたいに
 おまえに寄り掛かりたくないんだ」

「なんでですか?
 そしたらオレなんのために大野さんのそばにいるんですか」


俺を膝に抱いたまま、困惑したように声を震わせる。
胸の上に置かれた手が、ギュッと握られた。


「なんのためって……」


なんでわかんねーんだよ?
何度も言ってるのに。

思わずため息を吐く。


「……仕事のためだろ」


鈍感なニノに投げやりに言って目を閉じる。

んなわけ無いだろ、判れよ。

額にかかる俺の髪をニノは撫でた。


「……教えてよ、大野さん……」


小さな問いかけを無視して、
スー、っとわざと寝息を立てる。
そんな俺の額に背中を丸めてニノがそっと口付けた。

なんのためにそばにいるのか
なんでそれがわかんないんだ?

これからは度々、俺は外でも翔くんと会う。
その度に不安になるのだろうか。

俺はどうしたら良いのか判らず、今は考えることを放棄した。