こんにちは。
北村純です。
これから、
クライエントと治療者という言葉が登場しますが、
これは、フィットネスでは、
メンバー様とスタッフに置き換えて良いと思います。
そうです、フィットネスの現場では、
認知行動療法とほとんど変わらない事がおこなわれているのです。
しかし、大きく異なることがあります。
これは7/7で述べることにします。
認知行動療法の治療目標は、
認知の障害そのものを修正することではなく、
認知のパターンを修正することを通して、
不快な感情の改善を図ろうとすること、
それが認知行動療法の目標です。
ここで注意すべきことは,
クライエントの否定的思考を肯定的・積極的思考に
転換することが重要ではない点です。
それを肥満を改善する認知行動療法においては、
どのようになされるべきか、
一番悩みが多いとされる『ボディライン』を取り上げます。
下の表では、44週というプランのもと、
8週目~20週目のあいだに行われるモジュールⅤです。
この認知行動療法では、9つのモジュールプランがあり、
それぞれの理論的根拠のもと、実施されます。
その中でも、『ボディライン』に関するモジュールは
肥満の改善に重要な役割を果たします。
もちろん、ボディチェックや目標とするボディラインに関して、
聞き取りをすることはフィットネスクラブでも行われています。
認知行動療法では、
ここからが異なります。
クライエントが『ボディライン』についての【心配】が、
どのように形成され、それが何によって維持されているか
これを治療者が伝え、
クライエントがモニタリングをし、
自分で理解をし、取り組むことで、
回避していたことも不快に思わず、
実行できるようになるのです。
[あるクライエントはかなりの減量に成功したが、
自分の外見に満足できず、服を買ったり、美容院に行くことを
避けていたため、着たくもない服を着て、髪型はめちゃくちゃだった。
そのため、自分のことを太っていて醜いとますます思っていた。]
この事例で治療者が何をしたかというと、
クライエントと話し合い、
クライエントに何を回避していたかをリストアップしてもらい、
【鏡を見ること】を回避していることに気づかせ、
その回避している【鏡をみること】に取り組む理由を伝え、
クライエントが自分の日常で【鏡をみること】ができる時間を
つくるようにすすめるのです。
そこで、【鏡をみること】で
どんな感情が生まれてくるかを予想してもらい、
書き上げてもらいます。
また、【鏡をみること】を終えたあとも、
どんな感情でなにを考えたか、
どういう結果になったかも書いてもらいます。
クライエントが予想したのは巨大な肉の塊がみえる、
ということでした。
しかし実際には、自分の身体的イメージは自分にとって
嬉しいものではないですが、
嫌ではないと感じているのです。
しかしそのあとに続く感情が、
どうせデブだからだめだ、
デブは仕事ができない、
デブは人間関係がうまくいかない、
といった、自分の人生の他分野における弱さを
表していることに気づくのです。
そこで、治療者はこのように伝えるのです。
[あなたが予測していたことと、実際に鏡を見たときに
起こっていたことは異なっていたのですね。
これは覚えておかなければならない大切なことです。
もしかしたら、他にもあなたが予測していたことが
必ずしも実際にそうとは限らないことがあるかもしれません。
これらを明らかにすることができれば、
あなたが自分の体重や体型について、
より肯定的に感じることができるようになるかもしれません]
このように治療者は、
クライエントが回避していたこと【鏡をみること】を
心地よく実行できるようになるまで、何度も伝え続けます。
認知行動療法は,
ある状況をみる視点はいくつも存在し、
適応的・現実的な視点が存在しうることを、
患者が自覚できるように援助します。
否定的思考に対する患者の確信度を減じることが繰り返し試みられるのです。
もちろん患者の思考がいつも不合理であるとはかぎりません.
それが現実を正確に反映しているときもあるでしょう.
その場合には,問題となる状況そのものを改善したり,
あるいは,患者の対処技能を向上させたりすることが必要になるでしょう。