インデックス投資は面白みに欠ける

 

著者は、不動産ファンド運用会社社長、生命保険会社執行役員等を歴任してきた。

 

前半は投資についての基本的なことが書かれており、

 

プロでも平均的な成績は株価指数とせいぜい同程度か少し下回ってしまうことが多く、

 

インデックスファンドや指数連動型ETFを購入するのがよいとされている。

 

しかしながら、『インデックス投資にはなといっても面白みに欠けるという欠点がある』とし、

 

後半は個別株投資についての醍醐味や基本戦略が書かれている。

 

後半の印象に残ったところや参考になったところについて書き残す。

 

 

個別株投資をする意義 

 

インデックス投資は経済全体の成長の果実を得る手法なので、

 

個別企業の成長に賭けたり、自分が見出した企業の成長を見守ったりといった

 

投資本来の醍醐味を味わうことができない。

 

インデックス投資は面白みがないから個別株投資というのは

 

情緒的な話と思われるかもしれないが、そうとも言い切れない。

 

興味を持たないと長く続けるのは苦痛になったり、

 

目的を貫徹しないまま投げ出したりすることになるかもしれない。

 

一生涯ずっと続けるのであれば、どうせなら面白みを感じながらやっていくほうがよい。

 

 

テンバガーの誘惑 

 

インデックスファンドの弱点は大儲けができないこと。

 

個別株投資の醍醐味のひとつに、大化け銘柄(テンバガー)探しが挙げられる。

 

テンバガーを達成する企業の多くは新興企業であり、ナラティブ(物語)がある。

 

ビジネスモデルがはっきりと差別化されていて、成長のイメージが描きやすいといった

 

わかりやすい物語性を持った企業は投資家の注目を集めやすく大化けしやすい。

 

ただ、結局は「数撃ちゃ当たる」の世界でもあるので、逆に言えば、数を打たなければまず当たらない。

 

売り上げが伸びていて面白そうな銘柄を複数見つけ、ひとつでも大化けすればよい。

 

仮に10銘柄中、9銘柄が鳴かず飛ばずでも、1銘柄がテンバガーになれば問題ない。

 

 

 

テンバガーの多くは何年かかけてあがるので、大化けが始まったように見えるのを拾うのが現実的。

 

ただ、本当に難しいのは2倍、3倍と株価が上がったときに手放さないこと。

 

どこで売るかは難しく、利確前に急落の恐れもあるため、精神衛生上、予めの利確ポイントを決めておくのもよい。

 

 

 

高パフォーマンス 

 

長期的に見ると、大型株よりも小型株、成長株よりも割安株のほうが高いパフォーマンスを残す可能性が高い。

 

これは小型株や割安株がすべからく高パフォーマンスになるからではなく、

 

これらの中に一握りの大化けする銘柄が含まれるからと考えられる。

 

また、優良株は割高であるにもかかわらず、高いパフォーマンスを残す可能性がある。

 

企業の質を測る基準はいろいろあるが、一般には自己資本利益率(ROE)、

 

自己資本比率または負債資本倍率、利益の安定度などが有効であるとされている。

 

ROEは実証的に見ると8%がひとつの目安となっていて、

 

自己資本比率は一応の目安として50%あたりが意識されることが多い。

 

 

個別株投資で勝つための戦略 

 

個別株投資で勝つには戦略が必要になる。

 

まず、個別株投資においても複利を意識するのが重要となる。

 

また、目的に応じて計画を立てて投資することで、必要以上にリスクを取らないようにする。

 

個別株投資の長期投資は必ずしも大きなリスクと無縁ではない。

 

余裕資金での短期投資ならレバレッジも選択肢となりうる。

 

 

損切の考え方 

 

損切の要否は一概には言えず、「不要」のときと「不可欠」のときがある。

 

大きな打撃を受けての投資の縮小や断念を避けるためのものである場合、短期的な投資ならば損切は不可欠である。

 

しかし、ドルコスト平均法でインデックス投資等の長期の分散投資ならば不要である。

 

この他、損切が不可欠なときとして、シナリオが崩れたときがある。

 

損切は勝ちの可能性を捨てることになるため勝率を下げると言われることもあるが、

 

勝率ではなく総得失点差を意識することが重要になる。

 

 

 

これまで投資の本を読んできたが、面白みがないという言葉は目にした記憶がなく、新鮮に感じた。

 

また、『当時の世界では理にかなったものであれば、これが正解、あれはダメといったものはない』とあり、

 

なにが最も適切かは人によって違うとのことであった。

 

これからも試行錯誤していくことになるのだろうけれど、『理にかなう』というのは意識していきたい。

 

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