最上級呪文はコスパが悪い?

「ドラクエ」シリーズに登場する攻撃呪文や回復呪文は、同系統の呪文のなかにも種類があり、それぞれ威力や効果が異なります。たいていの呪文は上位になるほど威力が増していきますが、なかには最上級呪文なのにあまり使われないものも存在しました。

 

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 そこで今回はナンバリングタイトルに登場した呪文に絞って、「最上級なのに不遇と言われている呪文」をご紹介します。

 

  まず紹介するのは、ファミコン版『ドラクエ3』で初登場したときの回復系の最上級呪文「ベホマズン」です。同呪文はホイミ系の最上位にあたり、生存しているパーティ全員のHPを全快させる呪文です。

 

 最上級の回復呪文だけあってパーティ壊滅の危機を一気に救う便利な呪文に思えますが、そのMPの消費量は「62」と、とてつもなく多いのです。ベホマズンを習得する勇者のMPはそれほど多くないため、考えなしに使用するとすぐにMPが枯渇してしまいます。

 それに『ドラクエ3』には下位の全体回復呪文として「ベホマラー」(全員のHPを約80回復)があり、こちらの消費MPはわずか18です。それに加えて、ベホマラーと同等の効果を持つ回復アイテム「けんじゃのいし」もあるので、このふたつを併用すれば、たいていの回復は間に合ってしまうのもベホマズンが使いにくかった理由のひとつです。

 

 ただし『ドラクエ7』ではベホマズンの消費MPは20と大幅に減少しており、非常に使いやすい呪文に生まれ変わりました。

 

 

  ふたつめは、ナンバリングタイトルとしては『ドラクエ9』で初登場したときの、バギ系の最上級呪文「バギムーチョ」です。

 

 バギムーチョは「スーパースター」の職業が覚える呪文で、敵1グループに大きなダメージを与えます。しかし、そもそもスーパースターの攻撃魔力自体がそこまで高くなく、攻撃呪文を主体に戦わせるのは正直微妙です。

 また、バギ系には与えるダメージのバラツキが大きいという特徴があるのもマイナスポイントで、同じ消費MP50で使用できるマヒャデドス(魔法使いが習得)よりも威力自体は低めに設定されていました。

 そして何より「バギムーチョ」という名前の響き自体、あまり強そうに思えない点も不遇だったと言えるかもしれません……。

 最後にご紹介するのは、『ドラクエ4』で初登場したときのデイン系の最上級呪文「ミナデイン」です。こちらは勇者が習得する呪文ですが、下位にあたる「ギガデイン」と比べると、かなり陰が薄い印象です。

 その大きな理由のひとつが、使用するための前提条件が厳しい点が挙げられます。『ドラクエ4』でミナデインを使用するには、パーティー4人全員がMPを15消費する必要があり、もともとMPがないライアン、アリーナ、トルネコらが戦闘に出ていると使用できません。これは戦闘不能中のキャラがいるときも同様です。

 さらにミナデイン使用時のターンは、呪文を詠唱する勇者以外のメンバーは行動ができません。これだけ大きな制約があって、与えるダメージは敵単体に300~350程度のため、お世辞にもコスパが良いとは言えないのです。

 正直、条件を満たしてミナデインを使うより、4人それぞれが得意な攻撃をしたときの総ダメージのほうが大きいケースも珍しくありません。

『ドラクエ』に限った話ではありませんが、最上級という響きにはある種のロマンを感じるものです。しかし最上級呪文にふさわしい威力を発揮する一方で、ゲームバランスを加味して調整された結果、このような使い勝手に難のある「不遇な呪文」になってしまったのかもしれません。

 とはいえ、続編のシリーズで調整が入り「ベホマズン」のように使いやすくなるケースもあるので、不遇な最上級呪文がいつの日か生まれ変わる日が来ることを願いたいものです。

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