三浦建太郎による漫画作品「ベルセルク」に登場するキャラクター・ワイアルドについて、正体や最後を詳しく考察していき、メディアミックス作品で声を担当した声優キャストも紹介していきます。また、黒犬騎士団の団長であるワイアルドですが、傍若無人な残る振る舞いやセリフによって「ベルセルク」ファン達からコアな人気を誇っているため、今回はワイアルドの人気の理由となった名言も紹介していきます。
「ベルセルク」の人気キャラクター・ワイアルドは、主人公であるガッツの生い立ちから青春時代を描いている「黄金時代」に敵キャラクターとして登場し圧倒的な力で猛威を振るいました。見た目は人間形態のゾッドのような筋肉質で大きな体をしており、甲冑から見える皮膚は黒い剛毛で覆われているという原始的なものとなっています。武器も原始的で大きな木の棒を愛用しており、怪力から放たれる一撃は相手の骨を粉々に粉砕します。
そんなワイアルドですが「ベルセルク」ファンからは大人気となっており、作中で登場しなくなった今でも読者から語り継がれています。ここではそんなワイアルドはいったい何者であったのか、どんな行動をしてガッツたち味方側を苦しめたのかを説明していき、人気の秘密に迫ります。また人間離れした風貌のワイアルドですが、その見た目や力の秘密なども含めた彼の正体についても考察していきます。
ワイアルドは黒犬騎士団団長
「ベルセルク」のワイアルドは「黒犬騎士団」の団長です。「黒犬騎士団」とは「ベルセルク」の物語の大きな舞台となっている「ミッドランド王国」が逃亡中の「鷹の団」を捕まえるために凶悪な罪人のみで結成した騎士団です。ワイアルドは「黒犬騎士団」が結成された時に同じく囚人であった力自慢のバーボと団長の座を争って戦う事になりますが、戦いが始まった直後に一瞬でバーボを吹き飛ばして塔の屋根に串刺しにしていました。
ワイアルドは「黒犬騎士団」の団長として君臨していますが、団員達とは圧倒的な実力差であるため腕力と恐怖のみで支配しており「黒犬騎士団」の中では団長命令は絶対となっています。そのため団員達からの信頼は皆無となっており、一挙一動だけで団員達によく驚かれています。上の立場である「ミッドランド王国」の国王でさえもワイアルドを見た時には「人間離れしている」という事で恐怖心を覚えているような描写がありました。
ワイアルドはミッドランド軍に嫌われている?
ワイアルド率いる「黒犬騎士団」は屈強な囚人のみで結成されているため戦力が高く、他の「ミッドランド王国」の騎士団よりも多くの戦果をあげています。しかしワイアルドは戦闘後の相手を串刺しにする事を好み、さらに欲望に従って強姦を繰り返しているため評判が悪く、「ミッドランドの恥部」と呼ばれて嫌われています。「黒犬騎士団」は「ミッドランド王国」が繁栄のために苦渋の選択で結成したため悩みの種が尽きないようです。
ワイアルドはクズだが大人気
ワイアルドのファンによると、ワイアルドはクズではあるが万人がイメージしやすい「ザ・悪人」であるため、現実世界にいたら絶対に嫌な人物ではあるが漫画作品の敵キャラクターとしてなら見ていて爽快感さえ感じるという事でした。また、後述で詳しく紹介していく名言が人気となっている一番の理由で、悪人であるワイアルドのクズ発言ではありますが、思わず笑ってしまうようなものが多いため読者に強い印象を植え付けました。
ワイアルドの正体は実は使徒だった
ワイアルドが使徒形態になると巨漢であるガッツを遥かに上回るほど巨大化し、大きな3つの目と1つの口が特徴の大猿へと変化します。身体の頂点にワイアルドの本体が存在し会話をする時は本体が喋るため大きな口が話す事はありません。作中でガッツは人間形態のワイアルドと初めての戦闘を行い全力で剣を打ち込みますが木の棒や口で簡単に受け止められており、この時にゾッドと同じく人間では無い者である事に気付いたようです。
キャスカは必死でガッツを起こそうとしますが、ダメージは大きくなかなか目を覚ましません。キャスカを捕まえたワイアルドは「女に甲冑なんて似合わねえぜ」といいながらキャスカの甲冑を脱がします。すると次の瞬間ガッツが起き上がってワイアルドの口から出ている触手を一刀両断し、折れた剣とナイフを使ったチョークスリーパーでワイアルドを倒す事に成功しました。喜ぶ「鷹の団」でしたが、このあと思いもよらぬ事が起きます。
ワイアルドの最後を考察
その正体は人外の存在「使徒」であり、人生楽しくがモットーのワイアルドですが、衝撃の最後を迎える事となります。この最後のシーンもクズであるワイアルドが人気キャラクターとなっている秘密であり、謎な部分が多いため「ベルセルク」の読者達からは今でも様々な考察がされるものとなっています。そこでここではワイアルドがどのようにその人生に終止符を打ったのかという事と読者によるラストシーンの考察を紹介していきます。
ワイアルドはグリフィスを人質にした
「鷹の団」がワイアルド率いる「黒犬騎士団」と死闘を繰り広げていた事でグリフィスは自分も戦おうと甲冑を身に纏おうとしますが、壮絶な拷問を受けた後のグリフィスではもはや甲冑を持つ事さえ出来ないでいました。現在の自分の無力さと、兜の隙間から見るかつて同じくらいの強さであったガッツが「使徒」と戦う姿を見てグリフィスが何を思っていたのかは謎ですが、夢を絶たれた現状は想像を絶する絶望である事が考察出来ます。
ガッツのチョークスリーパーによって倒されたと思われていたワイアルドでしたが、瀕死状態となりながらもグリフィスを人質にとり、「見ろ!この切り刻まれた体を!」と言いながらグリフィスに「降魔の儀」を行なわせて「ゴッド・ハンド」を呼び出す事によって難を逃れようとします。しかし「真紅のベヘリッド」はその時にはグリフィスの元には無かったためワイアルドは頼みの綱を失って逆上し、グリフィスを殺そうとしてきます。
グリフィスが絶体絶命と思われたその時、突如上空から使徒形態のゾッドが現れてワイアルドの背中に頭のツノを突き刺して身体を真っ二つに引き裂き殺害しました。ワイアルドは以前にゾッドの事を「牛バカ」と称しており、顔見知りであった事が分かりますが良好な関係では無かった事がこのシーンでうかがえます。さらに瀕死状態とはいえ「使徒」であるワイアルドを一瞬で引き裂いた事から力もゾッドの方が上である事も分かります。
ワイアルドの最後は実は老人だった?
ワイアルドが死亡すると身体の中から多くの霊体のようなものが飛び出し霊体が体に戻ったところで完全に死亡しますが「使徒」としての魔力が無くなったワイアルドの死体は小さな老人の姿になっていました。屈強な身体を持っておりケタはずれな力を発揮していた男の正体が老人であった事を知ったガッツ達は驚愕していました。ワイアルドはガッツが「ベルセルク」の作中で時系列で言えば1番初めに倒した「使徒」という事になります。
ワイアルドは死亡すると老人の姿になったため「ベルセルク」の読者達は「使徒」は死亡すると人間だった時の姿に戻るという事が分かりました。しかし「使徒」や「ゴッド・ハンド」の中にはスランをはじめとした美女も存在しており人気も高いため、もし人間の姿が老婆であったら嫌だという事から正体を知りたくないというファンの声も多く挙がるようになり、ネット上では現在でも女性の「使徒」の元の姿について論争がされています。
また老人となったワイアルドについてですが、いつも嫌味な笑みを浮かべて楽しむ事を人生のモットーとしているワイアルドは、「使徒」に転生する以前は娯楽をせずに真面目に生きていたのではないかという多くの読者による考察があります。真面目に生きていても何も良い事が無く生涯を終えようとしていた事で絶望し、大切な人物を生贄に捧げて「使徒」へと転生し、新たな人生は楽しく生きようとしたのではないかと考察されています。
正体が老人だという事が分かった「黒犬騎士団」の団長・ワイアルドですが、人気に火をつけているのは何と言っても名言の数々です。「ベルセルク」はシリアスなムードが多数を占めていますが、そんな中でもワイアルドだけは軽いノリで発言を繰り返し、場面の雰囲気を一変させていました。ここではそんなワイアルドの名言の中でも印象に残るものをピックアップし、読者のSNSでの感想なども含めながら紹介していきます。
名言①エンジョイ&エキサイティング
「エンジョイ&エキサイティング」はワイアルドを代表する名言で、ワイアルドはこの言葉を信条に楽しく刺激的に生きています。ワイアルドの中での「エンジョイ」とは女性を強姦する事で、「エキサイティング」とは戦う事であり、これらを邪魔される事が1番嫌いだと発言していました。「黒犬騎士団」の団員達にも「黒犬騎士団心得」と称して「エンジョイ&エキサイティング」を大声で唱和させており、この心得を強要しています。
また、「エンジョイ&エキサイティング」という名言に共感する読者達は多く存在し、辛い事があったときなどに「エンジョイ&エキサイティング」とSNS上で発言するなど、刺激的に人生を楽しもうという前向きな意味でよく使われています。「ベルセルク」の作中ではクズの悪役であったワイアルドですが、この名言によって勇気づけられるという事で読者から感謝される事も少なく、死亡してしまいましたが長年人気を保ち続けています。
「ベルセルク」のファン達によってあまりに人気が出たため画像にあるように「エンジョイ&エキサイティング」と英語で書かれたTシャツも発売されこちらも人気となりました。「ベルセルク」のグッズは数多く製作されていますが、名言が描かれたTシャツが作られたキャラクターは主人公であるガッツとワイアルドの2人だけとなっているため登場回数が少ないキャラクターの中では快挙となっておりワイアルドの人気がうかがえます。
名言②死ぬの生きるのなんて言ったら人生損しちゃうよ
「死ぬの生きるのなんて言ったら人生損しちゃうよ」という名言は、「黒犬騎士団」が「鷹の団」を追っている時に多くの罠によって死傷者が出た事で臆してしまった「黒犬騎士団」の団員に対してワイアルドが発言したものです。「エンジョイ&エキサイティング」という名言は前述しましたが、生死をかけた戦いでさえも刺激的に楽しめという意味が込められています。こちらも勇気が出る名言であるため読者から人気となっています。
ワイアルドの初登場シーン
ワイアルドの初登場シーンは鬼畜そのもの
「鷹の団」が「ミッドランド王国」の牢獄からグリフィスを救いだし、とある村で馬車を用立ててもらいますが、この時に優しそうな村娘がキャスカに花束をくれます。あたたかい雰囲気で旅立った「鷹の団」一行でしたが、この後「鷹の団」を追ってきたワイアルドが「黒犬騎士団」を率いて村に現れ、この村娘を強姦したのちに手足を引きちぎって殺害し、串刺しにしてしまうという鬼畜極まりない行為をして衝撃の初登場を果たしました。
「ミッドランド王国」から命令された任務は必ず遂行する「黒犬騎士団」ですが、任務の最中にこのような残虐な行為を繰り返すため普段は辺境の地へ追いやられています。今回の「鷹の団」のように百戦錬磨の部隊が相手で通常の兵士たちでは太刀打ちできないという事になった時のみ、「黒犬騎士団」に命令が下るようです。そして村を壊滅させた「黒犬騎士団」は村人達の死体を串刺しにしながらすぐに「鷹の団」に追いつきました。
ワイアルドはアニメ版では登場しなかった?
強烈な印象の残るワイアルドですが、1997年に放送されたテレビアニメ第1作「剣風伝奇ベルセルク」及び2012年に公開された劇場アニメ「ベルセルク」には登場しておらず、ワイアルドが出ているはずのシーンは「ミッドランド王国」の無名の兵士たちに差し替えられています。なぜワイアルドが登場しないのかという理由は制作者側から発表されていませんが、おそらくあまりに残虐な描写が多い事によるものだと考察されています。
ワイアルドはガッツとの戦いで正体を明かして「使徒」へと変化し、グリフィスを捕まえて衰退した身体を「鷹の団」の団員達に見せつけるという大事なシーンがありますが、このシーンは削る事が出来ないため、こちらも無名の兵士の隊長が代わりを務めていました。またゾッドによってとどめを刺されたワイアルドでしたが、ゾッドも同じくアニメ版のワイアルドに関するシーンでは役割が無くなるため登場しませんでした。
ワイアルドの声優
ワイアルドの声優は河本邦弘・千葉繁
アニメ版「ベルセルク」では出番が無かったため担当声優が存在していなかったワイアルドですが、メディアミックスのゲーム作品には登場を果たしており、2016年に発売されたPS4・PS3・PS Vita用ゲーム「ベルセルク無双」では河本邦弘、「GREE」で配信されていたゲーム「ベルセルク 快進撃!怒涛の傭兵団」では千葉繁がそれぞれ声優を務めました。ちなみにどちらの作品もワイアルドの残虐なシーンは抑え目に作られています。