お菓子ひとつで揺らぐものです
「友達の結婚式ついでに、ちょっと旅行してきます」と
上原が有休をとって旅立った。
「お願い、あれ買ってきて♪ 美味しいの」と
家に帰ってからふと思いついた私は
その地方の有名なお菓子をお土産に頼んだ。
メールで。
返事はない。
やっばいな。もしかして彼女も連れて行ってたのかな?
あぁっジェラシー。ん ジェラシー???
結局のところ
私はやっぱり上原が彼女と仲の良いのが気に入らないのだ。
なんて身勝手。
お土産なんかムリってことか?
メール見てないのかな。
旅先では忙しいし。
ってか単純にお土産なんかお願いした自分が
なんか恥ずかしいなぁ。
そして昨日、気付けば携帯に、上原からの着信があった。
うわ。なんか久々なかんじ。
心臓高鳴ってしまった。不覚。今さら。でもドキドキした。
してもどうしようもないんだろうな。と 複雑。
電話をかけ直すと、
「買ってきたよ、お菓子」と 上原の声。
うわぁ。嬉しいな。お菓子ひとつで嬉しがるなんてね、いい歳して。
でも不安だった分、君が買ってきてくれたその事実が嬉しいのよ。
「松本(上原の同僚)とかと、分けてね」
と言われ、何となくがっくし。
「えぇ。分けるのぉ」と思い切り落胆した私。
なんか、「カオリさんは大勢のなかのひとりです」と
遠まわしに言われた気分。がっくし。
「明日、持っていくね」と 上原。
あぁこの子には、私が喜ぼうとも落胆しようとも
フィルター外の出来事なんだろうね。
フィルターの中に入れるのは彼女だけ?
そしてついさっき、上原がお土産を届けてくれた。
「カオリさんに」と。ひと箱。
あれ、松本くんとかと分けるんじゃなかったの?
何か意味わかんないけど。
分けなくていいなら何であんなこと言ったのよ。
落胆損じゃん。
がっかりしてたから、気つかってくれたの?
彼女と一緒ではなかったみたいだね、何となくホッ。
言いたいことあったけどいろいろ言えなかった。
ただ 「松本くんたちと分けなくていいの?」と尋ねたら、
上原は「うん、いいよ」と答えてくれた。
なんか、ごめんね。とりあえず謝ってみる。ごめん。
そして感謝と感激。
ありがとう。
私がお土産ねだったばかりに、
要らない気を遣わせたかもね。
でもね 私はね
たとえ恋なんかは抜きにしても 君のことが大好きなの。
この微妙な気持ちって何なんだろう。
とりあえず、うちの母親は喜ぶだろうな。
「まぁ、上原くんが。嬉しいわねー。いいこねー。」と。
上原は母のお気に入りだからね。
また何か、お礼したくなるに違いない。母のことだから。
この微妙な気持ちって何なんだろう。