ジャパンカップは
キタサンブラックがスローに持ち込み
見事な逃げ切りで優勝。
レース前にも
スローで流れることが想定されていたレースではありましたが。
前半1000m通過、61.7秒
前半1200m通過、74.2秒
後半1200mが71.6秒で
前後半差が2.6秒と
逃げ馬としては理想的な貯金を作っての逃げ。
しかしユタカ騎手がすごいのは
残り800mからの
11.9→11.2→11.4→12.1というラップ。
直線を向くまでに(11.9→11.2)と
事実上の早めスパートで
後続のキタサンより切れる脚を持つ馬を
封じ込めてしまうスパートをかけている点。
僕はこれまでも度々テレビでも
「武豊騎手は『逃げ(が得意)騎手』」と
呼ばせていただいていますが。
今回のジャパンカップを観て改めて思ったのが
幾多の逃げの名馬に騎乗してきた経験ももちろんながら
その逆で、逃げ馬に持ち味(差し脚)を封じられてしまうタイプの
後方から脚を伸ばす馬にも多数騎乗して
苦い思いをたくさん味わってきたからこそ
「このペースで、このタイミングで前の馬にスパートされると、後続は厳しい」
ということを、理解し尽くしているからの
今回の芸術的ラップなんだろうな、と。
言うまでもないですが
スローだからといって
逃げた馬が有利になるとは限らないのが競馬。
スローだと脚が溜まって
キレキレの脚を使う差しタイプがいるので
どれだけ貯金を作って逃げていても
どこでスパートするかで
スローの逃げ切りが決まるかどうかは違ってきます。
2番手をついてきていたのが
ワンアンドオンリーだったので
(早めに引き離せば、バテて下がっていって、後続との物理的なスペースが作れる)
という読みももちろんあったでしょう。
スローで、タイム的にも平凡な決着でしたが
見どころのあるレースだったと僕は感じました。
(写真は京都大賞典時のもの)
撮影:夏目耕四郎