時は1991年。
バブル景気に浮かれた日本はイケイケだった。
ジャパンマネーで海外の企業を買収して、金が有れば誰でも幸せ。
東京砂漠、コンクリートジャングル。
チャンスもピンチも同じだけ溢れたジャサバイバルライフ。
そんな経済とは無縁の少しアホな若者が夜な夜なスモーキングルームに集まっては夢を語っていた。
部屋の中央に鎮座したガラスの灰皿には吸い殻が山積みだ。
煙草の煙で部屋は充満している。
シブ
いいネタある?
クマ
スザンヌヴェガって良くね?
ジャンボ
玉置浩二のメロディって良くね?
シブの部屋にはクラシックギター、フェルナンデスのエレキギターがある。
スモーキングルームに3人が集まる時には、クマがテレキャス、ジャンボがエレキベースを持ってくる。
シブのエレキはフレットを彫刻刀で削ったスキャロップ仕様だ。
エレキギターの有名なメーカーはテレキャス、ストラトならフェンダー、レスポールならギブソンだ。
憧れるけど高いので日本のコピーモデルからみんな楽器を始めた。
俺のビルローレンスのテレキャスも煙草のヤニに炙られていい感じに焼けてきた。
いわゆるタバコサンバーストも"ヤニまみれ"のレスポールって意味だと思っていた。
濡れ雑巾でボディを拭くとガッツリヤニがくっつく。