小説 血獄楽魔
33-1 解散
このビジネスモデルもそろそろ終わりのようだ。
会員になるのに80万、サブスクの毎月の費用が10万、運用に充てる毎月の費用が10万。
2年やったのでかけたベースの費用は320万。
移動経費、接待経費などは500万というところか。
合わせて約800万。
魅せるためにかけた分を考えなければこんなものだ。
2年で受け取った配当は約5000万。
配当に絡む下部会員で残っているのは五十人。
さてどうするか?
なお子は充分に稼げていた。
風俗嬢からは足を洗って一端の実業家気取りだ。
一年で2000万は配当を貰えているはずだった。
身体を売らずに商売になる味を覚えて私よりも貪欲にこのビジネスを実践しているときいた。
最近では幹部会、成績上位者の会合以外では顔も合わせていない。
たぶん私が抜けると言っても理由も訊かないし、興味もないだろう。
同期の渡辺は人身御供になり摘発検挙された。
不起訴になったので前はつかなかったが、以降はおとなしくなっていた。
こんなビジネスで堅実確実なやり方などないのだけれど、奴はそうしてるつもりみたいだった。
周りの人間は自分が作った集団を引き連れてビジネスモデルを変えていく。
営業力がある集団、経験を重ねれば耐性も応用も効く。
詰まるところ売るものはなんでも良いのだ。
なお子は独立したがっていたので口は出さず自分のグループを好きに運用させていた。
たぶんコレが終わればゴッソリ移動するだけだろう。
私
久しぶりに二人で会わないか?
なお子
どうしたんですか急に
私
俺の一大事なんだよ
なお子
お金なら貸しませんよw
私
それは困ってないよw
なお子
ですよねw
やっぱり私と付き合いたくなったとか?
私
会った時話したい
なお子
分かりました
なお子はきっと今の生活がずっと続くと思っているのだろう。
破綻した時に何も話しておかないと逆恨みされそうだ。