小説 血獄楽魔 

32-2 灰色


けれども詐欺、架空の商品以外は宣伝広告、流通販売、製造の三要素が必要なのは変わっていない。


今私達が販売している投資商品はまるきりの灰色だ。

数字以外の現物は存在しない。

必ず儲かる、資産価値が上がる、そんなわけはない。

上がるかも知れないし、一年後には無くなっているものかも知れない。

それが投資だ。


お金の価値とはなんなのだろう?

何故価値に変動があるのだろう?

商売は仕入れたものを高く売って利益を出す。

それだけのことだ。


資金集めをして飛ぶ詐欺商法をポンジスキームという。

日本なら古くは豊田商事の金の投資が有名だ。

顧客に現物の金は渡さず書面で預かっていることにしていたが実際は運用も金の買い付けもせず、現物の要求が有ればのらりくらりと逃げ続け倒産させた。


銀行の預金も同じだ。

もし仮に戦争状態になり個人資産を国が強制徴収してしまえば無くなってしまう。


有象無象ある仮想通貨の価値が必ず上がると信じる根拠を騙り語る。

自己責任、自己判断に納得できない、自信がないなら手を出すべきではない。


経済は搾取される側とする側で回っている。

どうせなら取る側に回らないかと。

それだけのことだ。


本来投資商品、金融商品を販売するには証券外務員資格が必要だ。

ただし監督者、責任者が保有していれば良いことになっている。


世間話しとして友人知人とはなしをするのは違法ではないが、勧誘をして業務、仕事、商売として話すのは禁止されており罰則もある。


不動産の取引で宅地建物取引主任者の資格がない者が売買契約を結べないのと同様だ。


そんな国家資格を取ってからMLMの怪しいビジネスに参入するものなどいないが、ココがグレーゾーンだ。


リスクを取らないで大きく儲けることはできないという。

そうなればギャンブルと何が違うのか?


利口な振りができるかできないかだけのような気がする。


つまり営業という行為が限りなく詐欺に類似しているということだ。

だから詐欺の立件は難しい。

故意に悪意があって損をさせたのか?それを証明する証拠が必要になるからだ。


業と呼ばれる仕事のありとあらゆるもので詐欺が行われてきたので法律が作られてきたわけだ。